40歳の42.195km(つくばマラソンレポートその1)

※これからしばらくつくばマラソンレポートです。かなりコーフンして熱くなっているので、ランニングに興味のない方にとっては(興味のある方にも?)そうとう鬱陶しい内容になっているとおもいますので、あしからず。


走り始めたのは1年前。2009年の11月24日でした。なぜこんなにしっかり覚えているのかというと、この日は縦のものを横にもしない超絶グーダラな私が、初めて「自主的に」走った日、これは私の一生のなかで画期的なこと!ぜひ記録しなければ!と勢い込んで手帳に書いておいたからです。
学生の頃の体育の時間にやらされる運動場五周とか、年に一度の持久走大会(5km)。つらくて苦しくて、心の底からイヤだった。思い出したくもない暗黒の記憶です。オトナになってからは強制的に走らされる状況がなくなったので、いっさいまったく走る機会はなく。走るのはおろか、必要以上には歩くのもイヤで、ゴミ出しにも車を使っていたくらいです。


ところが30代後半になってからはお定まりのメタボまっしぐら。特にそれまでは美容面のみ気にしていた体重ですが、3年前に子宮筋腫の手術をしてからは健康面をかなり意識するようになりました。たった一週間の入院だったけど、あれはつらかった。注射や点滴、延々飲み続けなければならないお薬類もつらかったけど、何がつらかったって味気なく冷め切った入院食が一番つらかった。病気になったらあんなのばっかり食べなきゃいけないんだ。そんな人生イヤーー!普段からちょっとずつ気をつけて、健康な体でおいしいものを食べて長生きしたい。入院なんてもう絶対したくない。まず痩せよう。とにかく「標準」になろう。それには適切な量の食事と運動よね。食餌制限だけなら手っ取り早いんだけど、あれは確実にリバウンドするからなあ。でもねえ......運動ねえ......運動かあ......。


そう思い始めた頃、ネット&実生活でも友達、家も近所で家族ぐるみのおつきあいをしているketketさんがランニングを始めたのです。彼とのつきあいはもう10年近くになりますが、こう言っちゃなんですが、ぐーだら&めんどくさがりっぷりに関しては私とタメを張っていたketketさん。体を動かすのが嫌いだけどダイエットはしたい、というわがままな欲求も私とまったく一緒で、怪しげなベルトに手を出したり(私も買った)、「食前にキャベツを食べるだけ」のダイエットをしたりとか(私は「朝バナナダイエット」)、「楽して痩せる」ために試行錯誤している様子も私と一緒。その彼がランニングを始めたと聞いたときはどーせすぐに飽きちゃうだろうとタカをくくっていたのです。


んがっ! 意外や意外(失礼!)。なんかどんどんランニングにハマッていって、急激にトレーニング量を増やして疲労骨折まで起こしてしまったとか。ちゃんと走れるカラダになるために、高い月謝払ってジムに入会したというではありませんか!! え?あのketketさんが誰に頼まれたわけでもないのに始めたランニングで疲労骨折までしてるの? 信じられない!ありえなーい!! そこまでして走りたいの? 楽しいの? 楽しいんだろうなあ。だってあのketketさんが骨折してまでも走ってるんだもん。


そんなとこから興味を持ち始め、おっかなびっくりだけど始めてみるか、と向かったのは近所のショッピングモールにあるアディダスショップ。そこでちゃんとしたランニングシューズと簡単なウェアを買いました。2万円くらいかかりました。なんでもカタチから入る私はこうやってモノをそろえてモチベーションをあげないとコトが始まらないのです。それに2万円も使ったらさすがに3日坊主はきかないしね。せめて一ヶ月くらいは続けないと――。そうやって新調したウェアとシューズでのろのろと家の近所の公園をジョグ&ウォークし始めたのが去年の11月24日。


あれから1年経った2010年11月28日。私は筑波大学陸上競技場にいました。胸には「つくばマラソン・フルの部」のゼッケン。フルマラソンですよフルマラソン。42.195km!! 1kmはおろか、100メートルだって歩きたくない&走りたくなかった私が! これを奇跡と言わずしてなんと言おう。その隣にはやはり同じくフルマラソンのゼッケンをつけたketketさん。この1年間、すっかり走ることが習慣になった我々は、6月には10kmのレース、9月にはハーフマラソンと、2つの大会に遠征してきたランニング「同志」です。そして今回は古くからのネットのお友だちPAPIさんの姿も。


PAPIさんの日記はもうずっと長い間読んでいて、ランニングをされることも知っていました。ただ、1年前まではランニングなんかまったく興味がなかった私は、PAPIさんが更新された記事がランニングがらみだったりすると「なーんだ」と思って読み飛ばしたことも多かったのです。が、自分が走るようになってからは、彼の日記のログをさかのぼりランニング関連の記事をむさぼり読むようになりました。私と同じようにメタボ対策からおっかなびっくり走り始めて、次第に走ることの魅力に取り憑かれ、短い距離のレースに出場し、ハーフマラソンにステップアップ、そして今年の2月に東京マラソンでフルマラソンデビューされ、見事に完走された様子も全部読みました。それからは折に触れて「今度はこんなレースに出ます」「今月は○○km走りましたよ」「こんなグッズがあるの、ご存知ですか」など、ランニングの情報交換メールのやりとりをするようになりました。毎年11月に私の地元・つくばで行われる「つくばマラソン」にエントリーされることも早々に知っていたので、それならレース後にはぜひお会いしましょうね〜なんて言ってたのです。そう、その頃には私がまさかPAPIさんと同じくフルマラソンにエントリーするなんてこれっぽっちも思っていなかったのです。そしてketketさんも(たぶん)、1年前まではフルマラソンに出るなんて思ってなかったと思います。よね?


10kmレースを2回、ハーフマラソンレースを1回。そして今回の初フルマラソン。着実にステップアップしているようですが、ここまでくるのはけっこう大変だったのです。まず走り始めて2週間でさっそく膝を痛めました。「鷲足炎」というヤツです。整形外科に行って鍼に行ってマッサージに行って、なんとか走れるようになったと思ったら今度は「シンスプリント」。また整形外科に行って鍼に行ってマッサージに行って、走り方を矯正するためにインソールをカスタムメイドしてもらい、膝サポーターをぐるぐる巻いて走りました。春先にはなんとか膝も回復して、走行距離も伸び、タイムもどんどんよくなっていったのですが、夏になって急激に体調が悪化。タイムがどんどん悪くなりました。
真面目にトレーニングしているのになぜ??とかなり焦って、これは練習量が足りないせいだろうとよりいっそう距離を伸ばすもののまったく調子はまったくあがらず。初めてのハーフマラソンもさんざんな結果。むしろ体力はぐんぐん落ちていきました。おかしいおかしいと思いつつ、とあるランニング講習会に参加したら「スポーツ性貧血になっている可能性が高いです。すぐ病院に行ってください」とアドバイスされ、診断してもらったら「鉄欠乏性貧血それもかなり重度」と言われました。「あんた、よくその数値でハーフマラソン走ったよね。すごいよ」とドクターに感心されたくらい。あとちょっとで「輸血」が必要なレベルだったそうです(笑)。それからは内服と週に一度の鉄分注射を欠かさず、鉄補給サプリもぼりぼり食べ、ひじき食べ、レバー食べ、ほうれん草食べ、と、鉄子な生活まっしぐらしていたら、「12」という値だった血清鉄が一ヶ月で一気に「219」まで回復しました......って極端すぎだろ。ドクターもびっくりしてました。よしっ、これでまた普通に走れる!


なんでそこまでして走り続けたのでしょうか? 走りたかったのでしょうか? いつもの私なら、けがした段階で「やっぱり私には無理だったのよ。あーやめたやめた」と放り出しそうなもんなのに。少しずつ減量し始めていた体重を元に戻したくなかったというのが大きな理由ですが、一番の理由は1kmも走れなかったのが走れるようになり、1kmが2kmになり、3kmになり......という小さな達成感を積み重ねていく快感に取り憑かれたことなのです。「やればできる」「できるようになる」。ものすごくシンプルだけど中身の濃い充実感を得ることが出来たからなのです。


くどいようですが、ほんの1年前まで100メートル走るのもおぼつかなかった私がハーフマラソン出場するまでになったのだもの。膝を痛めたり貧血になったりいろいろ大変だったけど、とにかくここまで「達成」できた。そしたら、次はやっぱりフルマラソンでしょう。目指すは全国でも指折りの人気大会「つくばマラソン」。スタート会場の筑波大学陸上競技場は我が家から徒歩圏内です。42.195kmなんて距離、想像するだけで気が遠くなるけど、半年前は10km走ることさえ奇跡だったんだもの。やればきっと出来るはず。いや、たとえ出来なくても、チャレンジするだけの価値はある。地元つくばでこんなにいい大会があるんだもの。つくば市民は優先エントリー枠があるし、これはやるしかないでしょう! と思い切ってエントリーしました。同志・ketketさんも市民優先枠でエントリー。少し遅れて一般枠でPAPIさんもエントリー。「せっかくだからみんなで会場まで行きましょう。打ち上げもみんなでしましょう」とのぼせあがった私がぐいぐい仕切り、PAPIさんはうちのマンションのゲストルームに前泊してもらうことになり、これで我が家をベースにした「テキスト庵ランニングチーム(たった今私が勝手に命名)」が結成されたのです。


続く......。まだスタートすらしていないよ......