沖縄慰霊の日

来年は60周年。

米英の「大義なき戦争」の支持から始まり、気がつけばここまで来てしまった。この間、国民に十分な説明がないまま、多数与党を背景にして政府が走ってきた結果だ。もう、大半の国民が反対していても、ここまでできるようになっている。

 そのうえ、自らの平和を満喫するだけで十分な国民も多いから、怒りを政治や政府にぶつけることもなくなっている。間もなく参院選が始まるが、最近の傾向通りに、投票所に足を運ぶ人数の少ないことを、懸念しているのが、悲しい現状だ。国民一人ひとりが、自らの意思を示すことに関心を示さない。政治に失望するばかりで、政治に緊張感を与える投票行動には関心がない。

残念なことだが、こうした姿は五十九年前に後悔し、反省した戦前の一連の流れと重なるように見えてくる。まだ大丈夫なのだろうか、もう危ないのだろうか―見極める時間が残されているかどうかは定かでないが、もう安穏としていられない状況にあることだけは疑いない。
琉球新報社説