「浮気な家族」

浮気な家族

渋谷シアターイメージフォーラムにて。「オアシス」でソル・ギョングと共演したムン・ソリ主演の「浮気な家族」http://www.gaga.ne.jp/uwaki/を観る。なんか、最近観る映画はほとんど韓国モノばっかだなあ。というか、いやあ〜〜、すごいです、ムン・ソリ。「オアシス」で脳性麻痺の女性を演じているときは、どれがホントの顔かわからないくらいの鬼気迫る熱演だったけど、この作品ではうってかわって、匂い立つような色香を漂わせる人妻を演じている。言われなければ「オアシス」のムン・ソリだとは気づかないくらい。舞台出身の俳優にはありがちな「熱演してます!!」的な暑苦しさもなく、それでいて、なにやら「得体の知れない不気味さ」を感じさせる。すごい女優さん。スタイルもいい。すっかりファンになった。

以下、ちょっとネタばれになるけど、この映画のラスト、ヒロインがシングルマザーになって終わるんだけど、それが「自立した女」「一皮むけた女」の象徴っぽく描かれているのがちょっと気になった。最近はシングルマザーを描いた作品がすごく多くて、それはそれで別にかまわないんだけど、ヒロインが「一人で子どもを産み、育てる」という決心をしたとたんに、いままで抱えていた様々な葛藤や苦悩がとりあえずチャラになり、彼女はしっかり自立、成長しました......っていう展開が多くて、なんというか、映画やドラマの世界では、「シングルマザー」という存在が「女の自立譚」の手っ取り早い小道具として安易に流通しすぎているような気がするなあ。これは「自立してない女」のひがみかしら?

てゆうか、どうしていつまでもいつまでも「女の自立」が語られなければならないんだろう。「男の自立」はドラマにならないの? まあ、「浮気な家族」は、「女の自立譚」という単純な内容の作品じゃないけど、「シングルマザー」以外に打開策はないのか? という気にはなった。