華氏911

夕ご飯

言わずとしれた話題作だけあって、シネプレックスつくばでは、しばらくは指定席のみの取り扱い。一番大きな会場で上映していた。このジャンルの映画としては破格の規模だと思う。

前作「ボウリング・フォー・コロンバイン」を観たときにも感じたのだけど、この監督が常に訴えたいのは「恐怖による支配」なんだと思う。見えない敵への恐怖心を煽って国民を扇動し、監視し、 暴力的になっていく国家。そして真綿で首を絞められるように、国家の強大な不正にも、暴力にも、過剰なまでの監視にも、鈍感になっていく国民。異物を排除しようとする感覚のみが研ぎ澄まされていく。

印象に残るシーンはいくつもあるけど、とりわけ背中が寒くなったのはイラク「復興」ビジネスに名乗りを上げた大企業トップたちの薄笑いだった。

「戦争は人間にはよくないけど、ビジネスにはいいね」

息子をイラクでなくした母親がホワイトハウスの前で泣きじゃくりながら言った言葉が胸に刺さる。
「なぜ息子は死ななくてはならなかったの? なんのために? 人間はなんて無知なの? ――でも、私もそうだった」

ここ数日、オリンピックの陰に隠れてまともに報道されることもない沖縄のヘリ墜落事故など、シンクロしてしまうニュースが多く、きちんとした感想が出てこない。