スターの死

朝のニュースで本田美奈子死去の詳細を知り、じわじわとショック。HPで流されていたという本人の肉声メッセージを聞くと胸がつまる。デビュー20周年で大きな仕事も次々と決まり、よりいっそう仕事にも意欲が湧いてきた時期だったという。発病して10ヶ月。あまりにも早い、早すぎる。どんなにか無念だっただろうか。


ふっと、去年、チェッカーズクロベエが死んだときのことを思い出した。
チェッカーズ本田美奈子も、積極的に好きな方ではなかったけど、それでもこんなにショックを受けてしまうのは、彼らの全盛期が私が、というか私たちの世代が、まだ若くて元気で、毎日が生き生きしてて、楽しかった時期とぴったり重なるからだろう。


こどもの頃、新聞やニュースで、俳優や歌手などの有名人の訃報が流れるたびに、親が「え?死んじゃったの? なんでまた!」「○○歳か......まだ早いよねえ......」「そうか、この人も死んじゃったのか。さびしくなるねえ......」と嘆息していた。美空ひばりが死んだとき、大ファンだった母はかなりショックを受けて、一日中CDを聴きながら涙をぽろぽろ流していた。


古い古い時代の映画スターだったり、もう名前も聞かなくなった歌手だったり、幼い私にとっては思いっきり過去の人が多かったし、そもそも父や母もその有名人のファンだったとわけではないのに、何をそんなにシミジミしているんだろう?――と、当時の私には、母や父が受けるショックの意味がよくわからなかった。


しかし、最近になって、ようやくわかる。
同じ時代を生きて、私たちの生活を彩ってくれたスターの死は、私自身の「青春の終わり」を思い知らされる。これからも新聞やニュースで誰かの訃報に接して、あの頃の父と母と同じように「はあ......」と嘆息するのだろう。その嘆息の分だけ、私の「死」も近くなっているんだ。


私は、もう若くはない。もう少し丁寧に生きなければ。