ファーストレディーというオシゴト

政権交代の前後のチェンジ!の模様をいろいろ見聞きして、いろんなことを思ったり思わなかったりするわけですが、毎回毎回不思議なのはいわゆる「ふぁーすとれでぃー」というお仕事です。連れ合いが総理大臣になると、自動的にファーストレディになって、外遊についていって、オットが国際会議をしている間、ファーストレディー同士でキムチつけたり、お食事したり、福祉施設を回ったり、いろいろするじゃないですか。その場での立ち居振る舞いや社交センスなどでその度量がはかられるものらしいです。国際社会の表舞台できれいきれいなおべべ着て、エレガントに振る舞って、マスコミの注目をあびるわけですから、そりゃあもう気持ちがいいでしょう。安倍さんが総理になったときのアッキーさんがはしゃいでいたのが印象に残っていますが、現在の太陽を食べちゃう幸夫人もかなり舞い上がっている模様。いま、このときこそ、まさしく人生のピークでしょう。


でも、あれって今時ちょっと時代遅れなお仕事ですよね。確かに「国際社会の表舞台」かもしれないけど、ファーストレディーたちの見解が政治に影響することなんてかけらもないし、そもそも彼女たちの政治的見解なんて誰も気にしていない(当然夫に従属しているものとみなされる)。施設の視察とかお茶会とかお食事会だって、別に「この人でなければ」という仕事でもない。なにより夫あっての奥様。意地の悪い言い方をすれば添え物ですよね。歴代ファーストレディーのプロフィールなどをみると、たいがいお上品なおうちの生まれでお上品な学歴で、そこそこ美人(ここで「そこそこ」って書いちゃうところが私の性格がゆがんでいる証拠なんですが)。大した苦労も挫折も知らずに勝ち組街道まっしぐら。お嬢様から奥様そしてファーストレディーと「オンナ道」の双六なら「あがり」ってなトコでしょう。しかし、女性が働きやすい職場を、とか男女の役割も共同に分担しましょうとか言われている割には国のトップの配偶者がやっていることは純然とした添え物おくさま業だもんなあ。そういうのがかっこいいって煽っているようなマスコミだもんなあ。


世間が思い描いている女性ヒエラルキーのトップはいまだにああいう存在なんだろうか?ヒラヒラ・キラキラ・ニコニコなんだろうか? そんなお飾りみたいな仕事したくないわっ! 外遊するんならひとりでどうぞ。あたしにはあたしの仕事があるんだから。と啖呵切るくらいの気っぷのいいファーストレディーはいないもんでしょうか? 総理大臣が外遊する度に欣然としてファーストレディー外交しているおくさまたちを見るにつけ、その場でのエレガントな振る舞いこそが妻のホマレとでもいいたげなマスコミの口調を耳にするにつけて、「かっこいいか?あれ?」「もうそういうのがかっこいいって時代じゃないんじゃないかなあ」と、釈然としないパート主婦のワタクシ。


でもまあ、いまのニッポンみたいに始終トップが入れ替わってるんじゃ、そうそうのんびりファーストレディーやってらんないもんね。ヒラリーみたいな例は、ダンナの任期が4年と保証されているからこそあり得た存在。命短し、キラキラせよ、ファーストレディー


あ、ついでに書いちゃうけど、鳩山さんが「このネクタイは妻が選んでくれました」って」いうやつ、やめてほしい。自分のネクタイくらい自分で選べよ。自分で選べないのなら黙ってて。わざわざ「妻に選んでもらった」とか吹聴しないでほしい。恥ずかしい。恥ずかしいと思っていなさそうなのが恥ずかしい。