純一なランチ

ランチの残骸

東京へ出張中のid:kuri2さんと広尾のオッサレーなイタリアンレストランでランチオフ。
ACQUA PAZZAというこのお店のwebサイトは、あの食欲魔人日記のせりあ由紀さんが制作している。彼女が折に触れて「この店のアクアパッツァはうまい!」というようなこと激賞していたので、たまーにはこういうお店でプチゴージャスな食事もいいわよね、私もバイト代出たばかりだし、kuriさんも出張手当がたっぷり出たというし......と少々張り込んで予約してもらったのだった。


ランチに5250円というのは、ツクバネーゼを自称しているワタクシにとっても破格の値段である。根っからのお金持ち体質の方には、たかが5000円ちょいのランチでなにをビビってるんだ、と思われるかもしれないが、5000円あれば、私が働いているイタリアンレストランならAコースランチが5回食べられる。オットと一緒の時だって、こんな高級なランチを経験したことはない。しかも、私のオットはTUTAYAの延滞料金で病気になる男*1である。日頃、なんら社会の貢献をするわけでもなく、勉強するわけでもなく、ネットやテレビや映画の合間にちょこちょことバイトしたりテキトーに家事したりしているだけのぐうだら女にそんな贅沢が許されるのだろうか、大津波地震や戦争で苦しんでいる人たちもいるというのに、罰は当たらないだろうか......と心は千々に乱れる。


いやいや、私ももうオトナだし、おこずかいは自分で稼いでいるし、世の中にはもっともっとゴージャスな食事をフツーに食べている人たちがいくらでもいる。デヴィ夫人だって平気な顔でのさばっっている。5250円くらい、そんなに気負うほどの額じゃない。平常心、平常心!――と言い聞かせていても、所詮私のキャパシティは5250円でいっぱいいっぱいなのである。広尾というオシャレな地名にもほのかに緊張。ゴージャスランチを食べるのにさすがにユニクロはマズイだろと、新しいシャツ(notユニクロ)まで買ってしまった。気負いすぎ。


で、お待ちかねのゴージャスランチ。いやいやさすがでございました。行き届いた接客、ゆったりと落ち着いた店内、品よく彩りよく盛りつけられた料理の数々、飲み口さわやかなワイン、このお店の看板料理だというアクアパッツァ(ソテーした白身魚に水を加えてあさりやトマトやオリーブなどと一緒に煮込んだもの)は、そりゃあもう、とろけるほどの美味でした。5種類から選べるというドルチェはどれもこれもおいしそうで、どれかひとつに決めるのが難しかった。前菜から食後のコーヒーとともに出されたチョコやマシュマロのプチフールにいたるまで、どれもこれも妥協なく緊張感をもって作られたことがわかる料理ばかりだった。さすが。たっぷり2時間かけて、一皿一皿を堪能しまくりました。新しいシャツ買った甲斐ががあった。


しかーーーし! そんな至福のランチを楽しみながらも、どうして私とkuriさんが集まるとこうなってしまうのか。さんさんと陽光ふりそそぐ窓辺の席で、しかもユニクロじゃないシャツを着ているのに、はるばるつくばから、はるばる佐賀から、ランチのためだけに広尾までやってきているのに、


石田純一を捨てた長谷川理恵はひどい」
石田純一は頭は悪いかもしれないが、悪いヤツではない」
石田純一は人がよすぎて理恵に振られた」
「でも記者会見の石田純一は、別れた女の悪口をひとことも言わなかった。小柳ルミ子大隅賢也の時のようにゴネることもできたのに。立派だ。見直した」
「いや、石田純一は、本気でまだ理恵とやり直せると思っているんだ」
「そうだろうか? 石田純一はそこまで鈍感か?」
「でも理恵はもう石田純一とやり直す気はないだろう」
石田純一は成城に購入した土地をいったいどうするつもりか」
「それにしても長谷川理恵は恩知らず。石田純一かわいそう」


と、石田純一トークがメインだったのである。なんでいつもこうなるの......。もうちっと実のある話はできんのか! 


いや、できないし、するつもりもなかった。3時までお店で粘り、それでも話したりずに恵比寿の喫茶店に場所を移してさらに1時間半ほど話し込んでしまった。今度はワイドショーネタだけではなく、老後の人生設計とか、小姑としてのビミョーな位置とか、さすがに石田純一よりは実のある内容だったが。


料理はおいしかったし、kuriさんの鋭いコメントを交えながら展開するワイドショーネタ満載のおしゃべりは料理以上においしかった。おなかも心も満足満足。kuriさん、またぜひご一緒してください。