適正価格

ペーパータオルスタンド

自他共に認めるキッチン雑貨フリークの私。これ以上ちまちまモノを増やしても邪魔になるだけなんだけどなあ......と思いながらも、デザインがかわいくて使い勝手が良さそうなタオルホルダーや鍋敷きやらを見かけると、ついふらふらと買い足してしまう。今はキッチンの収納スペースが限られているので、私の物欲もかなりセーブしているのだが、将来、住み替えたり、リフォームしたりして、もう少し広いキッチンを手に入れたら、鍋やらボウルやら食器、オーブントースターやら電動ミキサーなどの電化製品などが際限なく増え続け、私のキッチンはプチ合羽橋になること必至である。この物欲がどうしてビューティー部門に向けられないのか我ながら不思議である。せめてドライヤーくらい買えよ。


一頃のル・クルーゼ欲しいよう熱はちょっと落ち着いていて、最近は、ペーパータオルスタンドが欲しいなあと、あれこれ物色していた。今のキッチンの材質に合った、ナチュラル・ウッディな感じの、おしゃれなヤツ。


あちらこちらを探し回るまでもなく、そこかしこの店でペーパータオルスタンドは売っている。
近所の西武百貨店のキッチン雑貨売り場では、私の希望通り、ナチュラルでウッディなヤツが2000円で置いてあった。


2000円か......。ペーパータオルを立てておくだけの道具なのにけっこうなお値段するんだなあ。キッチンに置いておく雑貨はきちんとしたデザインでそれなりに良い材質のちゃんとしたモノを揃えたいと思ってはいるものの、たかだかペーパータオルスタンドに2000円は、やはりちょっと躊躇してしまう。もっと安く買えるところがありそうよね、もう少し探してみよう、別に急ぐ買い物じゃなし......と決めあぐねて、その日は売り場を後にしたのだった。


翌日、茨城県南ピープルが愛してやまない超大型ホームセンター・ジョイフル本田で買い物をしていたら、「あったらいいな、こんな道具」という、スーパーのビニール袋をストックするかごとか、食べかけのスナック菓子の袋の口をとめておくクリップとか、ちょっとしたアイディア商品を並べているコーナーがあって、その中に、昨日西武百貨店で見たのとほぼ同じデザインのペーパータオルスタンドが売られていた。西武百貨店で売っていたものは2000円。ここで問題。この日私がジョイフル本田で見つけたペーパータオルスタンドは、さていくらだったでしょう?




答え  150円




10分の1以下である。なにをどうしたらこんなに値段の差が出るんだと、ちょっと驚いてしまった。


不自然に安い商品にはそれなりのワケがある。100円ショップなどで粗製濫造品をほいほい買っても結局は使い捨て、安物買いの銭失い。どうせ買うのなら本当に良いモノを少しずつ、と常々心がけてはいるけれど、所詮、ペーパータオルスタンド。値段の多寡によって見た目や機能にさほど差が出る商品だとは思えない。上に掲げた写真が、その、百貨店の10分の1以下の値段で買ったペーパータオルスタンドである。機能・デザインともに全く問題ナッシングである。


消費者としては、同じモノを安く買えるにこしたことはないけれど、あまりに値段に差がありすぎると、私の知らないどこかの誰かを不当に搾取しているんじゃないかと、ふと不安になってしまう。


2000円-150円=1850円。この差額の1850円は、どこの誰に分配されているんでしょう? 私が150円のスタンドを買うことによって、誰かが手にするはずだった儲けを1850円分横取りしているのかしら? 


なにもペーパータオルスタンドに限ったことではない。生産している会社のブランド力や原産地、流通経路などによって、同じモノでも値段にずいぶん差が出てしまう仕組みはある程度は頭に入っているつもり。それでも、今回のように同じモノ(少なくとも同じに見える)に対して、こう極端な差額が出ると、つくづくモノの「適正価格」がわからなくなっている。


誰かがボったくっているか、誰かがボられているか、私の今回の買い物、果たして正しかったのだろうか?