後日談

解体作業

いや〜、嘘みたいなホントの話なんですけどね、ちょっと聞いてくださいよ、奥さん。
さっき、お昼を食べに外出がてら、行きつけの美容室の前を通ったんですよ。そうそう、昨日の日記で書いた、「一国一城の主」の店長さんの、あのお店。


そしたら、なんか、作業服着た男の人がいーーっぱいいるんですよ。で、なんか、電動ドリルとか使ってあちこち壊してるんですよ。な、ナニゴト!? と、中をのぞき込んだら、壁・床・天井が全部はがされていて、洗面台も鏡もパーマ台もぜーんぶなくなっていて、もぬけの殻になっているんですよ。そして、入り口には貼り紙が一枚。
「3月末日をもって当店での営業を終了させていただきます。長年のご愛顧、ありがとうございました」
とか書いてあるじゃないですか!


なにがなんだか訳がわからずに、店の前で呆然としていたら、「あ、とこりさん、よかった、連絡先わかんなくってさ」と、店長さんがやってきたですよ。


「なになに? いったいどうしたの?」
「いや〜、年明けくらいから客足が伸び悩んでてさ、まずいなあ〜と思ってたところに、3月に契約更新があってね。もう少し頑張って様子見てみようとも思ったんだけど、周りの人に『傷の浅いうちに撤退したほうがいいい』って言われてね。思い切って、たたむことにしたよ。」
「だって、先月カットしてくれたときは、全然そんなこと言ってなかったじゃない?」
「うん、決めたのが急だったからね。解体工事を頼んだのもつい先週なんだよ。明日にはここ引き渡さないといけないから突貫工事」
「はーーーーー(絶句)。店長さん、これからどうするの?」
「うん、以前勤めていた店の上司が、隣の町に支店を出したんだよ。そこでお世話になることにした」
「リセットするんだ」
「そう。明日引っ越し」
「......いやあ、あんまり急すぎて、なんて言っていいかわかんないけど......。とにかく残念だわ。いろいろ大変だったね」
「こちらこそ、いままでひいきにしてくれてありがとう。新しい店の近くに来たらいつでも遊びに来てね」


ガンガン工事の音が鳴り響く中、固く握手をして別れたのですが。
いやあ、世の中、すごいタイミングですごいことが起こるんだなあ。昨日、

「自分で選んだ、納得できる苦労なら、ストレスにならない」。先行きは不安だけど、今の方が未来はあるような気がする。社会人として「落ちこぼれ感」を常に抱いている私は、くたくたになりながらも、楽しそうに仕事をしている、店長さんもオットもまぶしくてしょうがない。

なんて書いたけどさあ。やっぱり独立開業して一国一城の主として食べていくのは並大抵のことじゃないのね。


てゆーか、ヒトゴトじゃないんですけど? 明日は我が身? ますますもって先行きチョー、チョー、チョー不安だわ。うちは大丈夫でしょうね、オット?


それから、これから私どこでカットすればいいんでしょう? また美容室ジプシーか。憂鬱だなあ。今度はもっと大きい店にしよう。いきなり閉店されると困るもん。


みなさん、やっぱり「寄らば大樹」ですわよ......(;´Д`)