オット、号泣す

ツマが帰省している間、留守番をしていたオットはどんな風にすごしていたのか?


生協から新鮮な食材が山ほど届いていたにもかかわらず、食事はパン(しかも近所のパン屋の、売れ残りのパンを10個くらい袋詰めにして500円で投げ売りしているもの)or私が作り置きしていたカレー、もしくはレトルトのカレーで済ませていたとか。芸がないよなあ。


洗濯やお皿洗い、ゴミ捨てなどはこまめに済ませていたみたいだけど、どうして食事にこんなに手を抜くんだろうと不思議でならない。ツマがいないときくらい、ちょっと奮発してうまい刺身でも食っちゃおうかな、とか、ウニの箱食いしちゃおうかな、とか、どっかにおいしいモンでもこっそり食べに行っちゃおうかなとか、そーゆー野望はないのかね、チミは。


まあ、つましく過ごすに越したことはない。私は沖縄で、一人前4000円のコース料理とか、オーシャンビューのホテルのラウンジで優雅にランチとかしちゃったからね。しばらくは贅沢禁止!


ところで、オットは深夜、1人で洗濯物を畳んでいるときに、「そうだ、久しぶりにアレ見よう!」と思い立ち、このDVDを引っ張り出してきて鑑賞していたという。


「いやあ、このライブさ、保田圭の卒業ライブなんだよね。ラストなんか、娘。全員で泣いて別れを惜しんでさ、観客もすっげえ保田コールしててさ、見ている内にすっげえ切なくなっちゃったよ」
「なんで? 保田なんて別にどーでもいいじゃん」
「違うんだよ、あの、あの、あの保田でさえ、卒業するときにはこんなに華やかに送り出されているのにだよ、これまで率先してモーニング娘。を引っ張ってきた矢口真里あの最後......。あんまりだよな」
「あ〜矢口ね。なんの前触れもなくいきなり脱退だもんね」
「この保田の卒業の時も、一生懸命会場を盛り上げていてさ、中沢なきあと、実質的なリーダーはずっと矢口だったワケじゃない? これだけ娘。に貢献してきた矢口がこの仕打ち......矢口の気持ちや他のメンバーの気持ちを考えたらほんともう、いたたまれなくってさ、洗濯物畳みながら、ぼろぼろ泣いちゃったよ......切ないよ......」


私は結婚以来、オットが泣いている場面を見たことがない。どんなに感動モンの映画を見ても、フランダースの犬の最終回を見ても、ちーっとも涙腺がゆるまない、情の薄い男だと思っていた。一度でいいから泣かしてみたいと思っていた。


よりによって矢口で泣くなよ。しかもツマの留守中に。