シンプルライフの向かう先


北沢かえるさんとこより
http://d.hatena.ne.jp/kaerudayo/20050720#

あと、欲しいものなくなってシンプルライフに目覚めた40代女性をターゲットにした雑誌とかも増えたな。ムック本か、季刊誌。暮らしの手帖ほど腰据わってない感じで。 まあ、私はマーケティングではここ予備軍ではあるんだろうが、この世代は、けちいさんなので、市場として成立するのかは疑問。作り手サイドに「こういう本を作りたい」って空気があるから次々出るんだろうが。

しかし、この手の雑誌は、写真の質がどうにもな。テクがないのに空気を撮ろうとして、センスがあんまなくて、どうにもフォローできない状態になってるのが多い。気付かず使ってるのか? ま、自己満足でも、それが共感を呼べばいいのか。「クウネル」は違うよ。念のため。

これ、私も感じるなあ。ソフトフォーカスのくらし系、まったり・癒し系雑誌がほんとに増えた。
ざっと思いついただけでも

ku:nel (クウネル) 2005年 09月号 Vol.15天然生活 2005年 08月号心地いい暮らし―「季節」とともに、良質な一日一日。 (Vol.2) (e‐MOOK)Lingkaran vol.2 (SONY MAGAZINES ANNEX 第 373号)  などなど、たーくさんある。単発のムック本を合わせるともっとかも。かくいう私も、こないだ「mellow」という雑誌を買ったばかりだ。表紙はきれいだったけど、中身はイマイチだった。


これらの雑誌の必須アイテムは「ハーブ」「天然酵母のパン」「ル・クルーゼの鍋」「リネン」「雑穀」「無農薬有機栽培の野菜」「乾物・豆などやたら時間のかかる料理」「手作り石けん」「北欧」「絵本」などなど。


古民家を改造した一軒家の自家菜園でハーブを育て、ル・クルーゼの鍋でジャムを煮て、天然酵母のパンを焼き、リネンのランチョンマットでコーディネイトしたテーブルでハーブティーといっしょにティータイム、なんていう週末の過ごし方ならもう完璧である。


まちがっても「都内お買い得バーゲン情報!」とか、「彼を振り向かせるメイク術!」とか、「激安食べ放題の店!」「韓流スター最新情報!」なんて特集はないんである。食欲も物欲も性欲もごくごくあっさりと、目指すはゆったり、ていねいに過ごす、「心地よい暮らし」。いや〜、脂抜けてますね。紹介されているお料理もやたらヘルシー。ラーメンや揚げ物や丼モノ、豚のショウガ焼きなどなどの大衆グルメは、これら雑誌の中には存在しないのだ。


キーワードは「心地よさ」。本業じゃなくて、そのライフスタイルや、センスの良さで何となくもてはやされている「くらし系スター」(例:ちはる、岡田美里、雅姫 あとはスローライフ料理研究家たち)の活躍の場も、こうした雑誌だ。目指せ、シンプルライフ。丁寧な暮らし。エコ!

ここで念を押さなければならないのは、「貧乏」とこれらの雑誌が提唱するところの「シンプルライフ」は違うということ。たんに金がなくて物欲を満たせないのではない。あえて物欲を持たないのがおしゃれ。あえて粗食がおしゃれなのだ。シンプルライフっつっても、ほら、ル・クルーゼの鍋とか、ゆったりパンを焼ける広いキッチンくらいはヨユーで所有できる程度の経済力がなければ話にならないんだし。


そこで思い出すのは、ちょっとまえの「もうちょっと、うだうだ帳」の中のこんな記述。

最近シンプルライフとかスローライフとかが流行でそういうサイトもよくあるが、どれもパイン材の家具や素人仕事にしか見えない雑貨を揃え、リネンを多用したキッチンでパンを焼き、おいしいお茶をいれてほっこりしているだけに見えて食傷気味だ。で、いったいどう生きたいの? と思う。「長く手入れして使えるいいモノ」買うのにお金使うより、アナタの人生に必要なものはないのか?

目標のない人が単にシンプルライフしててどうする。


うわ〜、痛烈な一矢。ぐさっと胸に刺さりましたよ。