なめさせて

映画「スウィング・ガールズ」に触発されて、YAMAHAのサックス教室に通い始めたオット。週一回のレッスンを一度も欠席せず、日々たゆまぬ研鑽を積んできた。めざせ、つくばのチャーリー・パーカー


しかし、達人の道は遠く険しい。
いつまで経っても「今日は高音のソの音が出た」「今日はファのシャープの音が出た」なんて言ってて、おいおい、「音」はもういいから早く「音楽」を聴かせてくれよ〜、てゆーか、才能ないんじゃないの? と小馬鹿にしていた私である。


しかし、侮るなかれ、苦節1年。今回のレッスンで、オットは、ついに念願のソロ曲を完成させたらしい。聞くところによると、管楽器というのは、まともな音が出るようになるまでは非常に苦労するけど、ある日突然コツをつかんで、それからあとはトントン拍子に上達するようになるのだとか。オットもようやくその「コツ」とやらをつかんだのだ。すごいぞ。努力の甲斐あったね。パーカーの「パ」くらいまでは行ったか?


「で、曲のタイトルは何? どんな曲? ジャズ? クラシック?」
「日本の曲だよ。タイトルはね......えっーと......『黄金虫』」
「『黄金虫』?......ってひょっとして
♪こがねむしーは かねもちだー
って、アレ?」
「そうそう、とこり、この曲知ってるの?」
「知ってるもなにも、童謡でしょ? 保育園の時に唄ったよ。
♪こがねむしーは かねもちだー
かなぐらたーてた くらたてたー
こーどーもーに みーずーあーめー なーめーさーせーた
「え? なになに? そんなバージョンがあるの?」
「は?」
「いや、ボクが習ったのは
ラシドシラーミ(こがねむしーは) ラシドシラ(かねもちだー)
ラシドレミーファファ(かなぐらたーてた) ミレドシラ(くらたてたー) 
を2回繰り返す曲だから。そうか、フルコーラスじゃなかったんだ」
「つまりあなたの黄金虫は、蔵を建てただけなのね」


がんばれ、オット。千里の道も一歩から。
ちなみに秋には発表会があるそうです。その時までに子どもに水飴くらいなめさせてやってくれ。


※黄金虫のMIDIこちら