万引的邂逅

オットと夕食を食べに近くの韓国料理屋に行った。
最近、運動不足気味なので、てくてく歩いて。
台風が近づいてきているので(また台風かよ......)、湿気を含んだ風が強く吹いていたけど、真夏の台風と違って、さすがに九月も終わりの秋台風、肌に当たる風はひんやりじっとりと生つめたい。


食事を済ませて、腹ごなしにまたてくてく歩いて、近所の書店まで行って、以前からタイトルが気になっていた本を手にとってぱらぱらめくってみた。
最初の1ページを読んで買うかどうか決めようと思っていたのに、気がつくと、30分ほどで読了してしまった。


短い話だ。この一作だけで単行本一冊にするのは無理があったのかもしれない。5.6篇の短編小説を集めた短編集の中の一作とした方が収まりがよいように思うけど。


1ページ読んでから買うかどうか決めるつもりだったのが、全部読み終えて満足したので、何も買わずに書店を出た。ひどい客だよなあ。プチ万引きだ。


立ち読み程度で十分、という類の物語ではない。しっかりと芯が残る、まだ青い果実のような文章。ちょっと酸っぱいけど香りは強い。とてもきれいな恋愛小説だった。私はめんどくさがりやなので、めったに「あの日に帰りたい」(byユーミン)なんて思わないけど、一瞬だけ、学生の頃に戻って、恋をしたくなった。なんといってもタイトルがいい。


人のセックスを笑うな 山崎ナオコーラ


今回は買わなかったけど、この次、この作家がもうちょっと長い小説を書いて、それが単行本になったら買う。2冊買う。