枕本

枕本とは、就寝時、枕元に置いておいてぱらぱら眺めて楽しむ本のこと。その日を締めくくり、ココロ安らぐベッドタイムに相応しいラインナップを取りそろえている。ジャンルに細かい向き・不向きがあって、けっこう気をつかって選んでいるんである。


新聞や週刊誌などの時事モノは気分が重くなるから不向き。小説は意識がある程度緊張してなければ読めないのでこれまた不向き。「一ヶ月で○○㎏痩せる!」「これであなたも収納上手!」「さらば、だらしな生活!」みたいな、自己啓発・ハウツーものは気分が高揚してくるし、これまでの挫折の数々を思い起こさせてユーツになるからからこれまた不向き。とにかく現実世界と密接にリンクするような本は避けた方が無難。


私の現在の枕本ラインナップは、西原理恵子大田垣晴子などのマンガエッセイや、「地球の歩き方」などの旅行ガイドや旅行エッセイ、そして翌日の献立作りも兼ねてレシピ本などである。最近のレシピ本は、レシピだけではなく、料理研究家お気に入りの道具や食材についてのコラムがたくさん載ってて楽しい。旅行系枕本のベストは村上春樹の「遠い太鼓」ISBN:4061853821。もう10年くらい私の枕本の定位置にある。


けれど、なんと言っても枕本として最適なのは、通販カタログや「モノ」系の雑誌などである。睡眠は夢を見るためのもの。枕元の通販カタログをぱらぱらめくりながら、ああっっ!ル・クルーゼの鍋が欲しいっ! 液晶テレビが欲しいっ! よく切れるブレッドナイフが欲しいっ! などなど、極めて実用的な「夢」を膨らませ、眠りにつくのである。「夢」っつーか、単なる物欲だけど。この2,3週間は、エスプレッソマシーンの購入を計画していたので、枕元には電器店やデパートを回って集めたエスプレッソマシーンのカタログだらけになった。


それから、週末の朝刊にどかっと入ってくる新築マンションの折り込みチラシも格好の枕本になる。へー、この立地でこの設備で○○○万円かあ。うちよりずいぶん条件いいいなあ、負けたなあ......あ、このマンションだったらうちのマンションの方が勝ってるかも、この辺、場所あんまりよくないし、設備も見かけ倒しだしね......などなど未だに未練たらしく近隣マンション品定めなどするのである。なんだか、私の「夢」って全体的にみみっちいなあ。


そして、今日、また新たな枕本を購入。
デザインキッチン―気持ちのいいキッチン&ツールを選びましょう (エイムック (1084))
キッチン雑貨マニアの私のために編集されたかのようなすばらしいムック本である。最新のキッチン設備や有名インテリアショップによるキッチン設計施工例なども載っていて、もううっとりである。鍋が欲しい、包丁が欲しい、まな板が欲しい、もっと広いキッチンが欲しい......


そして我が家の几帳面大魔王のオットの枕本はこの本。
ドイツデザイン (No.1(2005autumn)) (エイムック (1098))
整理整頓水平垂直平行直角をモットーとするオットは、シンプルでシャープなドイツデザインにめっぽう弱いのである。


むふふ......。今夜はいい夢が見られそうだわ。