オンナゴコロとモデルルーム

日曜日、「マンションのモデルルームを冷やかしに行きたい」という友人夫婦に付き合って、つくば周辺のモデルルームを回ってきました。


この日記でも何回か書いているけど、私はマンションのモデルルーム巡りと新築分譲マンションの折り込みチラシを熟読するのが大好きです。オットなどは心得たもので、週末の折り込みチラシからマンション関連のチラシだけをキレイに抜き取って私のためにまとめておいてくれます。


「ちょっと待って。とこりって確か3年前にマンション買ったばかりじゃなかった? なのにどうしてモデルルーム行ったりチラシ熟読したりする必要があるのよ?」とあなたは言うかもしれない。ちっちっちっ、わかってないな。マンションっていうのは、一生に一度あるかないかの超弩級の清水ジャンプな買い物ですよ。いわば「あなたと私、何があっても死ぬまで一緒。もう離れられないのよ......」と、他の全てを断ち切ってたった一人の男性に一蓮托生するようなものです。


しかし、オンナゴコロとは不思議なもの。「もう迷わない!」と一度は愛するマンション君にカラダをあずけたものの、
「そういえば、竹中君が最近やけにめかしこんでモーションかけてくるのよねえ。見かけもゴージャスだし、なんと言ってもお育ちがいいものねえ」
「穴吹君って、イマイチダサくてアウトオブ眼中だったけど、つきあってみたらあれはあれで親しみやすくて、なにより気取らないのがいいわよねえ」
「小川君なんか、駅からちょっと歩くし、そんなに図体は大きくないけど、小回りはきくし、あとからいくらでも私色に染められそうだし、また違った魅力があるわよねえ」


などなど、ファイナルアンサーを下した後にぐらぐら揺れてしまうのです。そうはいってももう後戻りはできませんから、「大丈夫大丈夫、私の選んだ人が一番よ、間違いないのよっ!」、と確信を強くするために、わざわざ敵地(?)に乗り込んで、鵜の目鷹の目であら探しをし、「ほーらね、やっぱり私の目に狂いはなかったわ」と安心したいのです。チラシ熟読は、婚約が決まった後に、これまでの見合い相手の釣書を読み直すようなものかしら?


それにモデルルームって、最新の住宅設備やこれ見よがしのゴージャスインテリアの宝庫。住まいのカタログを生で見ているような楽しさがあります。普段からインテリア関係の雑誌を読むのが好きで、キッチン回りにはちとうるさい私にとっては、東京ディズニーランドよりずーっと心躍る夢の空間なのです。


いっしょに行った友人夫婦はモデルルーム見学は初体験です。「買う気なんてビタイチないですよ。休みでヒマだしモデルルームを見るっていう気晴らしもアリかなというくらいで」というノリ。


ふふふ......甘いわね。見たら絶対、絶対、絶対欲しくなるから。冷やかしとか言っていられなくなるから! と脅しておきました。
「んなわけないじゃないですか。ン千万円の買い物ですよ。とこりさんたちじゃあるまいし*1」とヨユーしゃくしゃく。


モデルルーム巡りのベテランの私は、そんじょそこらのシロート見学者とはワケが違います。
「天井高は何㎝?」
「サッシはペアガラス?」
「ルーフバルコニーつきって書いてあるけど、当然使用料がかかるのよね?」
「スロップシンクはついているの?」
「フローリング材のLL等級は?」
などなど(買うわけでもないのに)鋭い質問をかます私に、
「とこりさんってすごいですねえ」と、友人夫妻はソンケーのまなざし。どうだまいったか(←ものすごく意味のない自慢)。


それにしても、モデルルームに行くたびに思うのですが、ほんとにほんとに住宅設備って日進月歩ですねえ。特に、キッチン・水回りの充実ぶりには目を見張るものがあります。お掃除が楽々なスタイリッシュな換気扇、ガラストップのガステーブル、ビルトイン浄水器や食洗機、静音効果のあるシンク、見た目も機能も大充実、キッチンを預かるものにとっては垂涎ものの設備がほとんどデフォルト。


いいなあ、かっちょいいなあ......こんな機能的なキッチンでお料理したら私も栗原はるみくらいにはなれるわよ。体脂肪も減ってお肌もつるつるになって美人になっちゃうわよ......


と毎度のことながらうっとりする私。ふと見ると、友人夫妻も私以上に目をハートにしてうっとりしています。
「すごい......すごいんですね。新築マンションって」「見てよ、このウォークスルーのクローゼット! これだけあれば荷物いくらでも収納できちゃうね」「うわ、窓でかい!」「洗面台が超かっこいい!」「これ、人感センサーって言うの?すごい便利!」「ベランダ広い!」などなどもう大騒ぎ。そりゃそうです。何十回もモデルルームを見て回っている私ですらそのたびにうっとりしてしまう設備&インテリアです。初心者の彼らにはさらにさらに刺激的だったことでしょう。


そのうちに
「なんか、毎月お家賃払ってアパートに住んでいるのがばかばかしくなって来ちゃったね」
「これ、月々いくらくらいローン払えばいいのかなあ?」


と、話している内容が徐々に本気モードになってきています。友人夫妻の目の色が変わるにつれて、一緒について回っていた営業さんの態度も変わってきました。ついには「とりあえずざっくりとローン計算でも」というところまで話が進んでいました。


ね? だから言わんこっちゃないでしょう? 欲しくなるんだって絶対。無一文ならまだしも、賃貸マンションの家賃と同程度のローンでいいとわかれば、絶対買っちゃうよ。


それに、TXが開通したばっかりでつくばという街の知名度も人気も徐々に上昇中。つくばのマンションは買い時だと思うなあ。――と、なぜか営業さんとタッグを組んで一生懸命煽る私。自分が買えないので、友人に買わせて間接的に購入欲を満足させたいのかも。マンション、いいよお、快適だよお、おしゃれだよお。買っちゃいな、買っちゃいな、買いたくなったら買っちゃいな。


でも、うちよりいい部屋買ったらそれはそれで面白くないカモ。ああやっぱりオンナゴコロは複雑ね。私だけか。

*1:生まれて初めて行ったモデルルームでマンション即買いした私たち