あいぐはんきどぅ どぅるやびっかる

ちょっと前に、私の父のふるさと与那国島の公式HP掲示板にこんな投稿がありました。


「私は本土在住ですが、先日与那国島に遊びに行った人から、おみやげにTシャツをもらいました。そのTシャツには、『あいぐはんきどぅ どぅるやびっかる』という言葉がプリントされていたのですが、どういう意味なのかさっぱりわかりません。この言葉の意味を教えてください」


沖縄といっても本島北部・中部・南部で方言は違いますし、離島によっても違います。たとえば、私の母は久米島、父は与那国の出身ですが、この二人が互いに故郷の方言で話すと全然通じないくらいです。だから、私の両親は普段は標準語で話していました。おかげで、私は久米島・与那国、どちらの方言もわかりません。


数ある沖縄方言のなかでも八重山諸島、とりわけ与那国島の言葉は、かなり難解な部類にはいるらしく、母は与那国島出身の父と結婚して40年近くになっても、法事や盆暮れに集まる与那国島の親戚達のしゃべる言葉はいまだに「2,3割しか聞き取れない」とのいうことです。


それにしても、「あいぐはんきどぅ どぅるやびっかる」。
うーむ、まったくもって意味不明。もらったTシャツにこんな言葉が書いてあったらなにかのおまじないかと思って、ちょっと気味悪いかも。日本語的要素、一個もナシだもの。


というわけで、父に聞いてみましたら、教えてくれました。


「あいぐ」=「歩く」
「はんき」=「足」
「どぅ」=「〜に」
「どぅる」=「泥」
「や」=「〜が」
「びっかる」=「くっつく」


直訳すると「歩く足に泥がくっつく」、意味は、「足まめに働く人には泥(福)がつく」ということらしいです。日本語的には「泥」というのはマイナスイメージ(「泥を塗る」「泥をかぶる」など)に使われるけど、与那国の方言では「福」というプラスのイメージになるのがおもしろいです。
地方議員を28年勤めていた父に言わせれば、「選挙運動の時によく使う」とのこと。足まめに挨拶回りをすれば、泥(票)がもらえる、ということでしょうか。


去年、オットと与那国島に遊びに行ったときに噂のTシャツを買ってきました。
本土から移り住んだ若い夫婦が経営しているTシャツ専門店に置いてあったのですが、1枚3000円とけっこういいお値段でした。あんな小さな島でTシャツ専門店なんてやっていけるのかしら。



明日、このTシャツを着て外出しようと思います。「あいぐはんきどぅ どぅるやびっかる」に目を留めた人、混乱するだろうなあ。