コンセント・キッズ

森林インストラクターの講習を受けているオットが、ベテランインストラクターから聞いた話。
森林インストラクターには「子ども達にアウトドアの楽しさを伝える」という側面もあるわけで、いろんな子ども達と接する機会があるのですが、最近の子ども達のアウトドア能力の低下は著しく、特に多いのが「火を扱ったことがことがない子ども」。


IHヒーターの普及で家の中で「火」そのものを見ない子どもが増えているので、当然と言えば当然なのですが、マッチをすれないのはもちろんのこと(マッチが火をつけるための道具だということすら知らない子どももいるらしい)、カンカンに熱されたヤカンや飯ごうをいきなり素手で触ろうとする子どもも多いのだとか。触ると熱い、ということが判断できないのでしょうか。


私の父は喫煙者だったので、小さな頃からタバコとセットでマッチは身近にあったし、夏の夜の花火は、マッチやろうそくを使いました。「着火マン」は私の子どもの頃はなかったもん。「やかんでお湯を沸かす」のは最も基本的な家事手伝いだったから、沸騰するまでの火加減やカンカンに熱されたヤカンの持ち手をつかむときはふきんを使ってやけどしないように気をつけたのですが、今の子たちはヤカンでお湯を沸かすこともしないのかな。電気ポット使うからいいのか。


また、「キャンプで使うので家から包丁を持ってきてください」と指示したところ「我が家には包丁はありません」という親がいたとのこと。「包丁は使わせない」ならまだわかるけど「包丁が家にない」ってどういうこと? どうやって料理してるの?
聞けば、その親は「フードプロセッサーならあります」と言ったのだとか。ま、まあ、フープロあればみじん切りも千切りもできるけどさ、たくあんやトマト切るときどうするの? 肉は? お刺身は? 謎だ......。


「火傷すると危ないから」
「包丁でケガしたら危ないから」
と子どもを心配する気持ちはわかるけど、コンセントがある場所じゃなければ、お湯も沸かせない、トマトも切れないような人間に育つ方がよっぽど「危ない」と思うけどなあ。


小枝を集めて火をおこして飯ごうでご飯を炊け、なんて言われたら私も自信ないけど、「燃える炎は熱くて、この熱を利用して、料理したり暖をとったりできる」ということくらいは教えておかないと。大災害になって電気も水道も使えなくなったら、IHやフードプロセッサーも使えないんだよ。


「大災害の時に困る」だけじゃなくてさ、もっとこう、基本的な生活技術みたいなこと、子どものうちにちゃんと教わっておくべきだよね。オトナになってから身につけようと思ってもなかなかできないことだから。


なーんて偉そうなこと言ってるワタクシですが、未だに裁縫の「玉結び」ができません。それこそ「基本的な生活技術」だっつーの。いいもん! 災害用持ち出しリュックには「タッチボンド」を入れとくから!

タッチボンド