負け犬観戦

「スポーツ観戦にまったく興味がない」なんて書いておきながら、夏の甲子園はしっかり見ている私です。だって、今年の沖縄代表・浦添商業が絶好調なのです。昨日、慶応高校に勝ってベスト4入りです。このまま勢いに乗って春のセンバツに続いてぜひとも優勝して欲しい。夏の大会で優勝すれば、沖縄県初の「深紅の優勝旗」。ぜひとも持ち帰って欲しい! チバリヨー!!


......と、久々にテンションあがりまくりの私、昨日は、バイト先がヒマヒマだったのをいいことに昼過ぎに早引きさせてもらって、家で観戦態勢に入っていました。


しかし......。いったん感情移入し始めると、精神の均衡を失うほど興奮してしまう私。加えて、根っからのネガティブ思考なので、浦添商業が先攻だとわかったとたん、「先攻?? もうダメだ。高校野球はサヨナラばっかりじゃん。後攻の方が絶対有利。浦商の運もここで尽きた。この試合、9回裏サヨナラで終わりだ」と思ってしまいます。


試合序盤、無得点が続くと「ダメだ......。投手戦になったら、ピッチャーがバテて後半打たれまくるにちがいない。そのうち大量得点されるぞ」と思い、浦商が先制点をとっても「先制点っていっても、たったの1点だもの。すぐ逆転されるわ。なにせ向こうが後攻なんだもの。サヨナラのチャンスだってあるんだし」と思い、次の回で追いつかれると「ほらごらん。やっぱり追いつかれたじゃない。もうダメだ。このまま逆転されて、気力を落としたピッチャーがバカスカ打たれて大量得点されて負けるんだわ......」と独り決めして、「バカスカ打たれるところなんか見たくない!」と、相手側が攻撃のイニングはチャンネルをスカパー!のフーディーズTVにあわせて「夏野菜を使ったレシピ」なんて番組を見ていました。


そろそろ相手の攻撃は終わった頃だわと、おっかなびっくりチャンネルを戻すと、すでに浦商の攻撃が始まっていて、なんと追加点が入っているではないですか! おおお意外な展開。すごいぞ! 
――でも、まだ点差は1点だもの。あと5点くらい一気に得点しないとすぐ追いつかれるに決まっている。あららあっさり3アウト。もうダメだ。もうダメだ。やっぱり見てられなーい......と、またまた「夏野菜を使ったレシピ」に逃げてしまいました。


それからも5分おきくらいに夏野菜と高校野球を行ったり来たりしているうちに、慶応が追加点を入れて逆転。そのあと浦商も負けじと追加点で同点に持ち込んだものの、お互い一歩も譲らない超接戦。んもう、心臓バクバクしてじっとり変な汗が出てきました。だめだ、とても平常心じゃいられない。同点のまま双方一歩も譲らず試合は9回へ。最終回の攻撃をまともに見る勇気はとても出ません。汗びっしょり、顔面蒼白のまま、ずーっと「夏野菜」を見ていました。


それでもどうしても気になって、ちらっとチャンネルを変えると、9回裏、慶応が1アウト2,3塁と絶好のサヨナラチャンス。もう今度こそダメだ。サヨナラ負けだ。最初に心配したとおりだ。ああ、浦商かわいそう。ここまで頑張ったのに......。この期に及んでサヨナラ負けの瞬間なんか見たくないわ......と、どんよりした気持ちになって、今度はテレビを消して、お風呂場の掃除などをはじめてしまいました。


それでも、やっぱり気になるので、おっかなびっくりチャンネルを変えると、なんと! 浦商は9回裏のピンチを振り切り、延長戦に突入。しかも、勝ち越しの1点が入っているではありませんか! いいぞ、ここでもう1点、いや2点くらい欲しいところ。そうすれば逃げ切れるかも?!


しかし、追加点は1点どまり。後攻は慶応。せっかく延長戦になってもここで2点入ればサヨナラ負け。ダメだ負ける負けるったら負ける! と、やっぱり見てられなくて、意味なく台所のシンクを磨きはじめてしまいました。「もうそろそろ慶応の攻撃は終わっている頃かも。でも、私がテレビをつけた瞬間にサヨナラになっていたらショックだし。やっぱり見ない方がいいのかも」とあれこれ逡巡して、意を決してテレビをつけたら、浦商は見事に逃げ切ったようで、グラウンドに高らかに校歌が響いていました。


やった〜〜〜〜!!! 浦商!よくやった!



てゆうか、せっかくバイトを早引きして観戦していたのに、追加点が入った瞬間も、延長戦で勝ち越し点を入れた瞬間も、10回裏を守りきって試合が決まった瞬間も見ていません。一番長い間見ていたのはなぜか「夏野菜を使ったレシピ」。なにやってんだ私。せっかく浦商が頑張っていたのに。ものすごくいい試合だったのに。普段スポーツ観戦しなれていないから、異様に感情移入してしまって精神の均衡がとれなくなるのよね。


浦商、明日は準決勝があるけれど、見る勇気が出ません。やっぱり私にスポーツ観戦は向いていないのね。命が縮まるわ。遠くの空から浦商の健闘を祈っています。チバリヨ〜!


ちなみに、NHKの実況放送では必ず「チバリヨー」を「ちばりょう」と変なイントネーションで読まれてしまいますが、あれじゃまるで「千葉寮」みたいです。「チ・バ・リ・ヨー」ですからね。語源は「気張れよ」だと思うけど。とにかく浦商チバリヨー。てゆうか、故郷の球児達が頑張っているのにロクに応援もできないなんて肝っ玉小さすぎるぜ私! お前が一番チバリヨー。