取っとこう、ハム太郎

浦添商業が負け、オリンピックが終わり、息苦しいほどの暑さもやわらいできて、冷蔵庫のアイスティーが減るペースも落ちてきました。そろそろ夏も終わりですなあ。


ところで、バイト先のオーナー夫人のケータイ機種変更につきあってからというもの、現代ニッポンにおけるケータイ産業の進歩っぷりにびっくり仰天してしまった私。ここんとこ、ヒマさえあれば高機能ケータイ情報のウォッチばかりしています。ワンセグありーの、お財布機能ありーの、ミュージックプレイヤーありーの、名刺リーダー機能ありーの、とにかくなんでもかんでもついていて、薄くて軽くてスタイリッシュ。それに比べて我がPHS......。完全に時代に取り残されているわ。ショボい、ダサイ。新機種が出るペースも遅いし、出てもなぜかバージョンダウンしてるし、もうPHSに未来はないのかも。やっぱりケータイが欲しいなあ〜。


......と、再三オットに陳情しているのですが、まったく聞き入れてもらえません。そもそもそんなに多機能ケータイにしたところで使いこなせるわけもないし、通話状態だって街中にいるかぎりはおおむね良好。それになんと言ってもPHSは安いからね。キャリア変更の手間を考えたら鞍替えする必要まったくナシ、というのがオットの言い分です。


けれど、そう言うオットの趣味は「山歩き」なのです。一度山に入れば、都市部専門のPHSの電波はもちろん入りません。いまのところは標高2000m以下の低山ハイキング専門ですが、それでも一人で山歩きしていて急な天候の悪化や滑落や落石など、思わぬアクシデントは十分考えられます。ケガや遭難の際に救助を呼ぶのにPHSじゃ使い物にならんでしょう! 山の中であなたにもしものことがあっても誰も助けに行けないのよ。一人寂しく死んでいくのかもしれないのよ。それを考えたら私、つらくて怖くて......。だからさー、ドコモでもソフトバンクでもどこでもいいからさー、富士山だろうが阿蘇山だろうがどこでも電波が入るケータイにしようよ。命が惜しければケータイを!


......と、言葉巧みにオットを誘導してみました。PHSが「山中での緊急連絡ツール」になり得ないことに気づき、さすがにしばし考え込むオット。そして、ネットでなにやらかちゃかちゃ調べだして、この本を買ってきました。

ISBN:9784789815109

ハム? ハムならボンレスが好きだけど? このハムは見た目、食べられそうもないけど?


これはいわゆるアマチュア無線ゆーやつで、昭和30年代くらいには「趣味の王様」として一大ブームを巻き起こしたんだそうです。しかし、時代は21世紀。電話やネットやケータイの普及で、いまやそうとうマニアックなオールドファンだけの趣味になっているアマチュア無線ですが、いまでも緊急連絡手段としては現役なんだそうです。「というわけで、来週、試験があるみたいだからそれ受けて免許取るから」と言い出しました。試験ってあんた、森林インストラクター試験ももうすぐじゃない。どんだけ試験が好きなのよ。


だいじょうぶ、だいじょうぶ、アマチュア無線免許の試験はチョーーーー楽勝で、5歳の子どもでも合格するみたいだから。受験勉強なんか試験会場に向かう電車の中だけでOKなんだって。えなりかずきも子どもの頃に免許取ったんだってよ。ちょろっと勉強して資格とって無線機持って山に入れば、わざわざケータイ買わなくてもいいじゃん。自分の命を守るためにはハムだよ、ハム。これなら文句ないだろ?


文句......ない。ないけど、いまどきアマチュア無線て......。山歩きのためにケータイのキャリアを替えるのと、アマチュア無線の資格を取るのと、いったいどっちがアリなんだろう? 


深く考えはじめるとよくわかんなくなってきたので、とりあえず、オットが無事試験に合格することを祈ってみる、ケナゲなツマの私でした。ちなみにうちのオット、下の名前は「太郎」です。これがほんとの「取っとこう、ハム、太郎」。