35分の孤独

奈良漬けは??

秋ですねえ。スポーツの秋、芸術の秋、食欲の秋、八代亜紀水沢アキ、あき竹城......(このギャグ毎年使ってるなあ)。
昨日まで体調悪くてうんうんうなっていたのに今朝はだいぶ復活。体調の復活とともに食欲も復活。朝目覚めたときから、なぜか鰻が食べたくて食べたくて矢も盾もたまらなくなってしまった。


オットが鰻嫌いなので、我が家の食卓に鰻が出る日はほとんどない。こないだ鰻を食べたのはいつだっけ......えーと、祖母の葬儀で帰省したときに羽田空港のレストランで食べたんだった、だから2月に食べたのが最後。うわー10ヶ月近くも鰻食べてないよ。大好物なのに。


今日はオットは朝から出かけているので、ランチは一人になる。チャーーーンス。鰻食うぞ! スーパーのパック入りのぐにゃぐにゃした中国産の鰻じゃなくて、ちゃんと炭で焼いて、肝吸いと奈良漬けが添えられた、きちんとした鰻!


というわけで、「鰻! 今日のランチは絶対鰻食べるのっ!」と固く心に誓い、朝10時から午後2時までのバイトの間中ずーーーーっと、「これ終わったら鰻だから。鰻まであと2時間半、鰻まであと2時間、鰻まであと1時間半、これ終わったら鰻だから、鰻、鰻、鰻......」とカウントダウンしながら働いていた。


バイトが終わるのを待ちかねて、いそいそと近所の鰻やさんへ。
ランチタイムもすっかり終わって、閑散とした店内に客は私だけ。お水を持ってきてくれたウェイトレスの顔を見るなり、メニューも見ずに「鰻重!」と声高らかに宣言し、めくるめく鰻重への期待に胸も高鳴る34歳の秋。


まあ、ここは一つ、お気に入りの文庫本でも読みながら、じっくり待つことにしようかねえ――と、バックの中をごそごそやってると、Σ(゜□゜; ハッ
確かに持ってきたと思っていた文庫本がない。あ、あれだ、靴を履こうとして靴べら使ったときに靴箱の上に置いてそのままにしちゃったんだ。


お店の壁には「当店の鰻はご注文を受けてから調理し始めますので少々お時間いただくことになります。あしからずご了承ください」との張り紙。うううう。


で、ちゃんと炭火で焼いた、ちゃんとした鰻が出てくるまで35分。人っ子一人いない店内、もちろん雑誌、新聞の類もなく、私は一人待ち続けました。んもう、あんまりヒマなんで、自分の手相を見て「ズバリ言うわよ! あんた、改名しなさい」と、一人細木数子ごっこをしたり、爪楊枝を組み合わせて櫓を造ったり、割り箸の包み紙で鶴を折ったり、大変でしたよ。空腹でおなかがグウグウ鳴って集中力ないから、どれも中途半端になってしまうし。


写真は35分間の孤独の末、ようやくやってきてくれたマイスウィートハート・鰻重ちゃん・1600円也。ウェイトレスがお盆を持ってやってきたとき、思わず腰を浮かせちゃったわよ。
待った甲斐あっておいしゅうございました。まあ、あれだけ一人で待たされりゃ、国産だろうが中国産だろうが、炭焼きだろうがバーナー焼きだろうが、なんでもおいしかっただろうけど。


残念だったのが付け合わせの漬け物。奈良漬けじゃない!!! 奈良漬けって甘くて味が濃くて、単体ではどーしようもない漬け物だけど、鰻と一緒になって初めてアイデンティティを発揮するんじゃないか! ここで奈良漬け出さなくてどーする!? よって減点5。