かしまし4姉妹来る

純和風の朝ご飯

実家の母とその妹3人が「姉妹慰安旅行ツアー」と称して、はるばる沖縄からやってきたので、にわか添乗員として箱根一泊旅行に連れて行って参りました。


熟女四姉妹は、「木の葉が黄色くなっているのが見たいさ〜」「木の葉が紅くなっているのが見たいさ〜」「とにかく紅葉が見たいさ〜」の一点張り。枯れ葉・落ち葉・紅葉とは無縁の常夏の島・沖縄在住のうちなーんちゅは、ヤマトの秋景色に激しくあこがれているのだ。


で、いまちょうど紅葉のピークだという箱根に連れて行ったんだけど、いや〜、驚きましたわ。東海道線箱根湯本駅*1を降りたとたん、「ここは新宿か!?」っつーくらいの大混雑。箱根登山鉄道に乗るために行列、ケーブルカーに乗るために行列、ロープウェイで行列、トイレで行列、展望レストランのまっずーーーい山菜そばを食べるために行列、土産物屋で行列、たこ焼き買うのに行列......。早雲山から芦ノ湖まで足を伸ばすつもりだったんだけど、「芦ノ湖行きのロープウェイは一時間待ち」との掲示が出ていたので早々にあきらめた。一時間待ちって。ここはディズニーランドか?

で、観光は適当に切り上げて宿でのんびりすることにしたんだけど、四姉妹は沖縄では見られない「秋景色」に大コーフンで、「あきさみよー」「あいえなー」「はっさ、癒されるねえ〜」と感激しきりだった。まあ、よかった。


写真は宿泊した旅館の朝ご飯。旅館の朝ご飯って好きなのよ〜。サイコーよね。干物があって、お新香が何種類もあって、わさび漬けがあって、がんもの煮たのがあって、温泉卵があって、小鍋でおみそ汁が煮えていて。しかも、朝からこれだけの皿数を揃えてもお茶碗洗いをしなくていいんだもん。なんて贅沢なのかしら。うっとり。

タガの外れた消費欲

それにしてもつくづく思うのが、母の世代の女性の特徴なのか、ウチの親だけなのかどうか分からないけど、旅行に出ると親の敵のようにおみやげを買いまくるのはどういうわけだろう。飛行機で羽田に到着するなり、空港の売店で既におみやげを買い込んでるんだもん。まだ着いて一時間も経ってないのに。

 
「お母さんね、そうむやみやたらとおみやげ買うんじゃないの! 荷物が増えると道中難儀するでしょ?観光地で買うまんじゅうやらかまぼこやらって高いだけで大しておいしくないのよ。いまはたいていのモノは沖縄でも手に入るんだから。おみやげ買うのはやめて身軽に旅を楽しもうよ」と何度も口を酸っぱくして言っても
「はっさ、これおいしそうだねえ〜」「どんな味がするのかねえ〜」「この干物、お父さんが好きそうだねえ」「このお菓子、かおちゃん(孫)にあげようね〜」「そういえば○○○さんにはお餞別もらったんだったねえ」「職場の○○○さんたちにも旅行行くって言ってきたからねえ」と、次から次へと買いまくる。のみならず旅館の夕食のお膳に添えられた飾りの紅葉や松ぼっくり、紙ナプキン、割り箸の袋、ホテルの名前入りの薄手のタオルまで「これは記念になるねえ〜」と持ち帰ろうとする。ほんの二泊の滞在なのに夜逃げのような荷物になってしまった。


さらに、「とこり、この干物おいしそうだから、タローさんに食べさせなさい」「このまんじゅうも食べさせなさい」「このかまぼこも」と私にまで買い与えようとする。「いらないよ〜」と拒否すると「あんたが食べるんじゃないでしょ! タローさんが食べるんでしょ!」とブチギレる。


ウチの母は戦中生まれで、すごーーく貧しかった時代に青春を過ごした苦労人。子育て真っ最中・ローン返済真っ最中の頃は、10年くらい洋服を新調することもなかったと言っていた。人間はかなりつましくできている方だと思うんだけど、ある一定の年齢をすぎるといきなり鬼のように買い物するようになった。仕事もリタイヤしたし子供も独立したしで、安心して手持ちぶさたになったのだろうか。やたら気前よくいろんなモノを買ってはあちこちに配って歩いている。今回のおみやげもそうだけど、自分のための買い物より、人のため、子供のため、孫のための買い物ね。物欲っつーより消費欲。


普段も「なにか欲しいものはないねえ?」と定期的に電話をかけてきて、「そうねえ、お料理に使う泡盛がそろそろ切れるのよねえ」「久しぶりにちんすこう食べたいなあ」とヒトコトでも言おうものなら、それこそ泡盛一ケースとか、ちんすこう一年分などという巨大なロットで送りつけてくるので、母の前でうっかり「○○が欲しいわ」などとは言えなくなってしまった。


退職金も入って懐があたたかくなったせいもあるんだろうけど、あのタガの外れたような気前の良さはちょっと困ってしまうわ。私が小学生の頃なんてほーーんとケチな母親で、ろくにお小遣いもくれなかったのにねえ。まあ、年取ったんだなあ。ちょっと複雑......

*1:箱根湯本は小田急線でした