喪中の範疇

年賀状を買った。今年はオットと私を含めて220枚。オットは今年から独立開業したこともあり、かなり出す範囲が広がった。一方、私が出す枚数は年々減るばかりである。どんどん狭くなる私の交友範囲。そのうち私に届く年賀状は行きつけの美容室と生命保険会社だけになってしまうのかもしれん。いやーん。


それはそうと。
今年の2月に私の父方の祖母が亡くなったので、私は喪中になるのだろう。 妻が喪中の場合、夫も妻にならって喪中になるのだろうか? 年賀状は欠礼? お正月は? などいろいろはっきりしなかったので、ネットで喪中の範疇を調べていたらこのページに行き当たり、私と全く同じケースの相談があった。

Q.今年、私の祖母(父の母)が亡くなりました。喪中にしたいと思うのですが、私は結婚し姓が変わっています。私の知人だけに喪中ハガキを出そうと思いましたが、共通の知人もいます。この場合、どうしたらよいのですか? 教えて下さい。


A.お葬式は家が単位です。
昔は嫁ぐとき、「あなたは先様の子供になったのだから 先様を親と思って......」
という親からの言葉があったのですが、今では忘れ去られた言葉になってしまいました。
あなたは嫁いだときから あなたの家は嫁ぎ先になります。
そのようなわけであなたの家は喪中にはなりません。あなた個人を喪中にするには あなたが結婚前の姓を名乗る方法しかありません。そうしなければ嫁ぎ先の家が喪中になってしまいます。

結論、旧姓で喪中欠礼を出しましょう!


げげっ! 知らなかった。お嫁に行ったら、もう実家は関係ないんですか? 実家の親が死んだときも?

Q.私の父が亡くなりました、私は嫁いで姓が変わっております喪中欠礼を出したいのですが。


A.お父さんのご冥福をお祈りいたします。さて喪中欠礼の件ですが、お葬式は家を基準に行われます。
ですから、貴女のお父さんが亡くなっても、嫁ぎ先の(ご主人)の家は、喪中にはなりません。
嫁ぐということは、その嫁ぎ先の家の子供になるわけで、実父は親であって、親でなくなるわけです。貴女が喪中欠礼を出しますと、 ご主人の家が喪中になってしまいます。ですから喪中欠礼は必要ありません。
しかしどうしても 知らせたい時があるときには旧姓にて出すとよろしいかと思います。


いやあ、知りませんでした。想像だにしなかった結論です。嫁ぐということは、その嫁ぎ先の家の子供になるわけで、実父は親であって、親でなくなるわけですとは。
仮に、夫側の兄妹とか祖父母とか、ほとんど交際・面識のない親族が死んだ場合でも、「嫁」なら当然喪中だけど、いったん実家を離れたならば、自分を産み育ててくれた実の親が死んでも喪に服する必要はない(というか、むしろ喪に服してはいけない)とは! 死んでしまった人を悼み悲しむ、人としての感情より、とりあえず、家の一員としての体裁だけを重んじるということなのね。「情」より重い「家」という制度。あな恐ろしや。結婚ってすごい制度だわ。(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル((((


夫婦別姓とか事実婚とか、結婚に対する考え方は様々である。私たちも結婚するときは「別姓」とか「事実婚」をまったく考えなかったわけではないが、当時は結婚について問題意識らしきものを持ったことがなかったし、事実婚夫婦別姓もなんかめんどくさそうで、深く考えることなく入籍して、私はすんなりタロー家の「嫁」になったわけだが、本人たちの気持ちはどうであれ、「家」という制度の一員になるということはこういう慣習にも組み込まれることになるのだなあと今さらながら実感した。好きよ好き好き、愛してる。ずーっといっしょにいたいわん♪ だから結婚しましょ、入籍しましょ(はあと)なーんて単純なモノじゃなかったのね。


戸籍とか家とかカンケーない、形式にとらわずに私は私のやり方で故人を偲ぶし、もともと年賀状なんて出さないし〜という人も多いだろう。というか、むしろそっちが主流かもしれない。だから、あまり深く考える必要はないのかもしれないけど、有名無実化していようがなんであろうが、嫁は嫁いだ「家」の範囲でのみ喪に服するという、感情的に考えたら理不尽としか思えない慣習を含む制度が厳然としてある、という事実はやはり釈然としないし、居心地が悪いことである。何を今さらと言われるかもしれないけど。


で、結局私の年賀状はどうするのかって?
私の祖母の喪中なので、沖縄の親族関係には年賀状は出さない。友人・知人には近況報告をかねて年賀状を出す。お正月は簡素に、ということにした。私の中ではこれでバランスをとったつもり。