ちょっとしたワクワク

近所の某百貨店は改装前の閉店セール中。デパ地下の高級食材売り場では、一瓶3000円くらいする醤油とか、一袋1500円の砂糖とか、おフランスのジャムとか、1年に一回使うか使わないか、というようなスパイス類とか、普段なら、ちょっとぜいたくよね〜と敬遠してしまうブルジョア食材が2割3割引になっている。ブルジョア食材がお手ごろ価格であなたの手に! トリュフもフォアグラも夢じゃない! 


しかし、私はやはり庶民です。自分の中の壁をどうしても乗り越えられない弱い人間。割引でかなりお買い得になっているとはいえ、お菓子作りに一箱1500円もするカルピスバターはやっぱり恐れおおくて買えませんでした。いや〜、カルピスバター、おいしいのはわかってるんだけどね、バターに1500円はちょっと......。だいたいせっかくいいバター使っても、うちのオットじゃどうせ違いなんかわかってくれないだろうし、分不相応よね、もったいないわよね、といつもの四つ葉バターで妥協してしまった。これが私の器ですわ。


それでもダークチェリーの缶詰とか高級レトルトカレーとか大きなボトルに入ったメープルシロップなど、普段はあまり買わない「オシャレ食材」をたくさん買い込んでなんだかすごく優雅な気分。


5階の生活雑貨売り場でも割引セール開催中。以前から「あると便利なんだけどなあ」と思っていたレシピスタンドがかなり安く、しかもうちのキッチンにぴったりの材質であったので大喜びでゲット。キッチン雑貨マニアの私は、アクセサリーや化粧品より、レシピスタンドや鍋つかみを選んでいるときの方がはるかにワクワクするんである。


レジを待っていると、となりのレジに並んだ30代の女性が私が憧れてやまないル・クルーゼココットロンドを買って、いま、まさに包んでもらうところだった。色も私が欲しいと思っているオレンジで。思わず、「あ、いいなあ、それ。私も欲しい〜」とつぶやいたら、思いっきりいぶかしげな目で見られてしまった。とこりさん、もういい年なんだから、なんでも思ったことをすぐ口に出すのはやめておきなさいね。


帰宅して、さっそく買ったばかりのレシピスタンドの使い心地をためすべく、こないだ買ったレシピ本ISBN:4056035938、バナナケーキを焼いた。
これが焼き上がったケーキとレシピスタンド。

ちょっとしたものでも、こういう小物がひとつキッチンにあるだけで、ワクワクしてくる。お料理するのが楽しくなる。こういう買い物はいいね。


ちなみにこのレシピ本、たったの500円だけど、写真はオールカラーだし、字も大きくて読みやすい。しかも製造工程がシンプルで説明が丁寧、どこにでもある材料を使っていながらバリエーション豊かなレシピが満載で、久々のヒット。このバナナケーキはバナナピューレを生地に混ぜ込む際、50ccの生クリームと合わせるというのが目から鱗。なるほどね〜。焼き上がりはふんわりしっとりでなかなかでございました。お砂糖はちょっと減らしてもよかったかも。


バナナケーキっておいしいよね。バターケーキの中では一番好きだ。私が今まで食べた中でサイコーのバナナケーキは沖縄のJimmy'sというケーキ屋さんのバナナケーキ。こってり甘くて生地がねっとりするくらいバナナが練り込まれていてバニラとバナナの強い香りがする、アメリカーンな味。なつかしいなあ。あれ、大好きだったんだよな。沖縄では法事のお供えや祝い事の引き出物の定番で、私が高校合格したときに親戚に配ったのもジミーのバナナケーキのセットだった。あのケーキのレシピが欲しいなあ。