まずは基本から

食い意地が張っていることには誰にも負けない自信がある私。料理は作るのも食べるのも大好きなんだけど、最近は自分の料理がマンネリ化しているような気がしてならない。いつも同じ所をぐるぐる廻っているような徒労感。ちっとも「進化」していないというか。


私、料理は下手ではないと思う。手先は器用じゃないけど、たいていの家庭料理なら、材料と調味料を見れば、見よう見まねで似たようなものを作ることはできる。なにせ一人暮らし歴5年、主婦歴8年、ほぼ毎日台所に立って料理を作り続けているのである。それなりの知識も勘もあるつもり。


しかーし! 料理下手ではないけど、料理上手でもないんだよね、残念ながら。
ザッパーな私は、レシピ本にある「大さじ1」「小さじ1/2」「カップ3/4」などの分量をいちいち量るのがめんどくさくてしょうがない。料理は勘よ!センスよ!とばかりに、いつでもどこでも目分量。さらに言っちゃうと、香りづけの木の芽とか彩りの絹さやなんかも、たいていスルーしてしまう。ほんのちょびっとしか使わないのにわざわざ買ってくるのはもったいないんだもん。ああいうアクセント食材って必ず余っちゃうし、木の芽や絹さやがなくても味には大差ないもんね。


レシピ本マニアで、和・洋・中・製菓、各ジャンルごとにかなりの冊数を持っているくせに、料理の腕がちっとも上達しないのは、香りや彩りを無視する繊細さに欠けるザッパーな性格と、自己流の目分量に頼ってばかりで味の固定観念から抜け出せないせいもあると思う。


目分量だと結局いつも同じトーンの味付けにしかならない。「微妙な塩加減が引き出す素材のうまみ」「口の中でふあっと広がるかすかな甘み」「あるかなきかの酸味」などというビミョーなさじ加減ができない。そりゃあ訓練すれば、目分量だけでもそういう高等技術が使えるようになるのかもしれないけど、私は結局いつも同じ「白いご飯が進む味」で統一されてしまう。故郷の沖縄が「アジクーター*1」な土地柄だし、実家の母もアジクーター料理の達人だったので、私もそういう味付けが好き。自然と作る料理も、お醤油・お砂糖・塩・こしょうをどぼどぼ使う、はっきりくっきりした味付けになってしまう。しかも体調や気分によってかなり味にばらつきが出る。


真のお料理上手になるためには「私が好きな味」ばかり作っていちゃいけないんだわ。まずは基本をしっかり押さえて、塩の使い方、醤油の使い方、お砂糖・みりんの使い方を基本からしっかり覚えよう。目分量料理から抜け出し、安定したレベルの味を出せるように、基本からお勉強しよう。


そう心に決めた私は、愛読している「パン・ド・ミーが焼けるまで」のNadireさんが紹介してたレシピ本「割合で覚える和の基本」ISBN:4140331712 を買ってきた。


大さじでいくつ、小さじでいくつ、50ccのお酒、10グラムのお砂糖......そんなしちめんどくさい分量表示ではなく、1:1:3とか1:1:1など、すべての調味料を割合で計算してあり、私のようなめんどくさがりでもこれなら抵抗なく受け入れられそう。材料が増えたり減ったりしたときも自由に応用できるし、こりゃあ便利。


さらに掲載されている料理が、きんぴらごぼうとか、お煮しめとか、切り干し大根の煮物とか、いつでもどこでも手に入る材料を使った、定番の親しみやすい料理ばかりなのも気に入った。最近のレシピ本はどれもこれもみーんな「カフェめし」みたいな料理ばかりでヘキエキしていたところだったから。


和食をきちんと作るためには、やはりだしをしっかり取らなければ。実は私、いままで顆粒だしの素に頼ることが多かったのだけど、やはり基本を押さえるために、おっくうがらずに鰹と昆布できちんとだしを取ろう! そう考えて、「野崎洋光のだしポット」なる器具まで買った。このだしポットを使えば、手間はほとんどかけずにご家庭で料亭のだしが出せるという。「通販生活」でもベストセラー商品だし、なかなかよさそう。


この際だから調味料もケチらずにいいものを揃えたい。みりんは近所のオーガニックレストランで調達した三州味醂、醤油は地元茨城の紫峰しょうゆ、お塩はふるさと沖縄の粟国の塩である。どうよ、この有無を言わせぬラインナップ。気分はすっかり道場六三郎美味しんぼの世界である。


目分量の女王、ザッパー料理専門の私、これから生まれ変わります。もう甘すぎたりしょっぱすぎたり、ギャンブルみたいな味付けとはおさらばよ。最高の調味料で最高の味付け。ご家庭でプロの味を。みなさん、料亭とこりへようこそ!


さあ、そして、豪華ラインナップを引き連れて挑んだ本日の夕食はこれです。


スペイン名物・パエリヤ(生協お手軽パエリヤセット使用)


......って、全然和食じゃないじゃん! スペインじゃん! しかもこれ、冷凍の具材を炒めて冷やご飯を入れて炊きあげるだけじゃん! 


でも、おいしんんだよね、これ。ダッチオーブンスキレットで作ると、ちゃんとそれなりにパエリヤっぽい味がするし、見た目も豪華。今回はできあがりにとろけるチーズをふりかけてリゾット風に。ちょっとレモンを搾って食べるとまた(゜Д゜)ウマー。オットも義父も喜んで食べてくれました。


というわけで、炎の料理人・とこりの料亭の開店はもうしばらく先でございます。ライバルは弁いちの板前さんよっ! おーほほほほっほ!←(身の程知らず)

*1:濃くてこってりした味