フリルな休日

天気のいい休日の午後は、お菓子作りにもってこいです。
卵とバターと粉とフルーツ、それから、ほんの少しの愛情。ふるって、泡立てて、混ぜて、焼いて。
つきあい始めて10年になるおんぼろオーブンにパウンド型を入れて、待つこと一時間。
しばらくすると、日光がさんさんと降り注ぐリビングにお菓子を焼くあま〜いにおいが立ちこめます。揺り椅子でうたた寝していた義父も、においに誘われて目を覚ましたようです。
バルコニーには素焼きの鉢に植えられたパンジーが1月の寒風に揺れています。BGMはナラ・レオンの低くくぐもった声のボサ・ノバ。


「ピーッ、ピーッ」
おや、オーブンからできあがりのサインが聞こえてきました。お気に入りのミトンを使って焼き上がったばかりのケーキを取り出します。パウンド型一杯にふくらんだ、ココアフルーツケーキが焼き上がりました。さあ、アールグレイの紅茶を淹れておやつにしましょう。


......自分で書いてて気分悪くなってきた。


なんでしょうか、このオリーブ少女のなれの果てみたいなクソ甘いシチュエーションは。お菓子作りをしているとどうして柄にもなくぶりぶり乙女チックな気分になるんだろうか。あ、乙女チックって言葉はもう死語ですか。そうですか。


肉じゃが作っていても、みそ汁作っていても、サーターアンダギー作っていても、こんなフリルな気持ちにはならないのにね。不思議。私にとってお菓子作り(洋菓子)は、まだまだ「ままごと」の延長なんだろうなあ。


お菓子作りって失敗も多いから、上手に焼き上がるとすごく達成感があるんだよ。で、誰かに自慢したくなる。というわけで、焼き上がりです。フルーツのラム酒漬けをたくさん入れたココアフルーツケーキ。ナツメグやシナモンなどのスパイスをきかせ、カラメルで苦みとコクを出したオトナの味。焼き上がってすぐより、2,3日置いた方が美味しい。お酒がたっぷり入っているのでかなり日持ちします。

※参考「焼くだけのお菓子 P66」ISBN:4938508230