近藤さんと中田氏

各所で話題沸騰中の日経新聞連載小説「愛の流刑地」略して「愛ルケ」。
愛と性愛(と書いてエロスと読ませる)の大御所(笑)、渡辺淳一先生のツッコミどころ満載のこの小説、当然ウォッチサイトもあまたあるようだが、私が好んで読んでいるのはここ「白目がちの犬・別館」http://d.hatena.ne.jp/minatuka/というところ。


一話ずつコンパクトに要約されていて、しかも、minatukaさんのツッコミの鋭さがスバラシイ。実際の「愛ルケ」は読んだことないけれど、このサイトを読むだけで、おおよその内容はわかるし(そもそも色ボケの中年と色ボケのヒトヅマがひたすらやりまくる、という、単純極まりない内容だし〜)、多分小説以上にminatukaさんのツッコミの方がおもしろいはず。


いやあ、しかし、すごいですね。淳一先生が織りなす華麗な「性愛」の世界、相変わらずでございます。ちなみに最近のヒットは
「そう言えば、お前、この頃、眼が澄んできた」
というセリフ。http://d.hatena.ne.jp/minatuka/20050421#p1
んもう、抱腹絶倒でしたわよ。


かつて一世を風靡した「失楽園」を、ブックオフで購入して上下とも読破してしまった私だが(恥)、「愛ルケ」も「失楽園」も、どれもお得意の妄想ワールド炸裂である。ほんっっと、成長していない。よくもまあ飽きもせず。日経新聞の担当編集者は、どんな顔してワタジュンの生原稿を読むのだろうか。日経新聞校閲係はどんな顔して赤を入れるんだろうか。単行本になったらまたベストセラーになるんだろうか。役所広司黒木瞳で映画化されたりするんだろうか。想像するだけでくらくらしてしまう。


ところで、この「愛ルケ」、売れない初老の小説家と色っぽいヒトヅマが人目を忍んで逢瀬を重ね、ひたすらやりまくるのであるが、不思議なのは、こそこそしている割には、このヒトヅマ、初っぱなから「ください......」とか言っちゃって、近藤さんを使うことを拒否、なんと中田氏おっけいなんである。避妊の意志が皆無なんである。「あなたの子どもが欲しいのです」のだと。うへえ〜〜、なんだよ、それ!! 超キモいんですけど? なんでいきなり「子ども」なんだよ! つか、だったらさっさとダンナと別れて、この色ボケ小説家と結婚して子ども産みまくったらいいじゃんかよう。子供を産む覚悟がある割に、ダンナに隠れてこそこそホテルで会ったりしてずいぶん往生際が悪いんじゃない?


いやね、淳一先生描くところの色ボケカップルはおいとくとして、私はずっと前から不思議に思っているんですけど、最近、「できちゃった結婚」ってやたら多いじゃないですか。お前、いまデキたら絶対困るだろ〜というような若いカップルや、売り出し中の芸能人とかさ。古くはアムロもそうだったし、広末涼子も「できちゃった婚」だった。最近では「下妻物語」のヒットで、さあ、ブレイク!というまさにそのタイミングであっさりできちゃった結婚してしまった土屋アンナ。あれは事務所はアタマ抱えただろうなあ。「そりゃないよ」という気持ちだっただろう。


一般人はともかく、芸能人のようにイメージ優先、ビジネスが絡んでくると、事務所との契約とかスポンサーとの関係など、もろもろのしがらみがあるだろうから、そうそう無計画に妊娠できないと思うんだけど、その辺のプロ意識はいったいどうなっているんだろう。


いや、愛し合う二人が、子供を持って、幸せな家庭を築き上げることを否定する気は毛頭ないですよ。どんどん産めよ育てよ。少子化から日本を救え。


しかしね、この「できちゃった結婚」っていうのは、子どもが欲しいから、とか、家庭を築きたいから、という覚悟を持っているようには思えないような、危なっかしいカップルが多いような気がするんだよねえ。まあ、好きになっちゃったんだから、愛してるんだから、節句酢はするだろうけどさ、そこまでは誰も口を挟むようなコトじゃないだろうけどさ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、近藤さんを呼ばないの? なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、中田氏なの? 避妊はしないんですか? どうしても今、子どもが欲しいんですか? そこまで急いで妊娠したいんですか? 「できちゃった」って言うけどさ、小学生程度の性知識があれば、ヤレば出来るってことはわかっているだろう、ふつー。


聞くところによると「その最中に近藤さんを使うと彼が白けるから」「その場の雰囲気を壊したくないから」などというふやけた理由で中田氏おっけいという場合や、愛しているから中田氏、というわけのわからない迷信みたいなものがあるらしいけど、「愛の深さ」=「避妊しない」ではないと思うぞ。男はそりゃいいだろうけどさ、できちゃった場合のリスクは女性の方がはるかに高いんだからね。わかってますか? 避妊してくれと言ったら白けて背中を向けてしまうようなアホな男はその場でポイしてかまいません。産むにしても産まないにしても。「彼が白けるから」というような理由で避妊しないで、「できちゃった」になって、やっぱり産めなくて中絶させられる命もたくさんあるだから。


だからさあ、渡辺淳一大先生みたいな立派なオトナが「愛しているから中田氏」みたいな、たわけた妄想をあちこちで書き散らすのはいい加減、やめたほうがいいのではないかと。そういえば先生の小説に登場するおびただしい数の節句酢シーンで明確に避妊の意志を伝える色っぽいヒロインはでてくるのでしょうか? ワタジュン的美学からいうと、そういう女は、魅力ナッシング。小説に描く価値もないのかも。「後先考えずヤるなら中田氏、これ、男の美学」とか本気で思っていそう。ほんとに子どもが出来たらオタオタ困るくせに。


愛し合う二人が子どもを産み、育て、家庭を築くことはすばらしいこと。でも、いっときの勢いだけで「できちゃった」になって、育てられなくてネグレクトや幼児虐待につながるケースも少なくはない。出来ちゃった結婚に驚いたり、眉をひそめる人は現在はあまりいないだろうけど、まあ、眉をひそめる必要はないのかもしれないけどさ、あんまり無防備に称揚したりするのはいかがなモノかと思うぞ、私は。


日本の近現代小説における妊娠と避妊における興味深い考察はこの本で。
斎藤美奈子著「妊娠小説」ISBN:4480032819



なお、エロワードでリファラが埋まるのがイヤなので一部隠語を使いました。あしからず。