生搾りっ!

トルコ名物・ドルマテス(トマトの肉詰


イスタンブールケマル・アタチュルク空港内の案内板。空港内モスクの場所が示されている。モスクはパスポート・コントロール内と外、2カ所あった。


旅と言えばすなわち食! の私。特にトルコ料理世界三大料理のひとつということで期待大だった。しかし! ああだこうだとうるさいことを言う割に、私、実はかなりの偏食なんだよね。
まず、羊が全然ダメ。普段は朝からトンカツ食べられるくらい肉食獣のクセして、羊だけはどんなに頑張っても食べられない。トルコもギリシャも肉と言えば羊、というお国柄。どの食堂に入っても羊特有のあの香りが漂ってきてビミョーにブルーになってしまったのだった。


まあ、肉は羊ばかりじゃなかったので、シシケバブもスブラキももっぱらチキンをオーダー。トルコの鶏はおいしくて有名らしいけど、さすがに三食鶏肉だと飽きてくる。で、挽肉料理を頼んでみる。「羊、ダメネ、鶏、牛、オンリー?」としつこく念を押してオーダーしたのに、やっぱり牛と羊との合い挽きだったりして、半分くらいしか食べられなかった。チーズも山羊か羊の乳から作ったものらしく、あの独特の臭いで食べられなかったし......。


オットは「羊の味なんか全然しないよ? とこりの気のせいじゃない?」というけれど、嫌いなものには敏感に反応してしまうんだよねえ。羊よすまん。君を愛することはどうしてもできないんだ。悪く思わないでおくれ。結局、イスタンブール滞在中は毎食チキン。食べ過ぎてトサカが生えてくるかと思うくらいだった。チキン、おいしかったけどね。


しかし、さすが世界の三大料理。羊以外は堪能させていただきましたよ。まずなんと言ってもパン!


村上春樹の「遠い太鼓」でも、沢木耕太郎の「深夜特急」でも、「トルコのパンはとてもうまい」という記述があったので、とてもとても楽しみにしていたのだけど、これがあーた、ほんとにほんとにうまかった!!! イスタンブールのあとはアテネだったんだけど、飛行機でほんの2時間しか離れていないのに、パンの味はトルコとギリシャでは確実に違う。絶対にトルコの方がうまい!


フランスパンみたいに皮はパリパリなんだけど、それでも歯を立てるとさくっと噛み切れて(フランスパンだと固すぎて歯が立たないことがある)、中はしっとりときめが細かくて香ばしい。水分が多めなので日本人向きだと思うし、水気が多い割にべちゃべちゃしない。バターもジャムもなんにもつけなくても全然イケる。私はホテルの朝食ビュッフェに出てきた一口サイズのクロワッサンにはまってしまい、毎朝5,6個ずつ食べていた。


それから、野菜がうまい。キュウリやナスなんか「なにこれ、大根?」と思うくらい巨大で、見るからに元気そう。色つやもいい。トマトもジャガイモも味が濃くて実にうまい。ヨーロッパを旅行すると、野菜と言えば揚げたジャガイモくらいでいつも野菜不足に悩まされるんだけど(特に冬場はつらい。ドイツ・オランダあたりだと、来る日も来る日も揚げたジャガイモばかりで、いい加減、ムキーッ!!ってなる)、今回はどの料理をチョイスしてもふんだんに野菜が添えられていて、とてもうれしかった。それから、ピラウというタイ米を塩とバターで炒めたものが付け合わせられているのもうれしかったなあ。食べ物に関しては超・米食至上主義の私。アジア以外の国を旅したときには、必ず一回はチャイニーズ・レストランで米を補給していたのだけど、今回はいつでもピラウがあって大満足。今回、食事にまったくフラストレーションを感じずにすんだのは米が食べられたからだと思う。米、愛してる。米、マンセー


おいしいものはたくさんあったけど、でも、イスタンブールでなにが一番おいしかったか? と訊かれたら私は迷わず「オレンジジュース!」と答えるね。今回の旅行で一番おいしかったもの。それがオレンジジュース。


イスタンブール二日目に、ハマム(こんなところ)という共同浴場に行った。私が行ったその日は他の外国人観光客で大混雑で、熱い大理石の上で待たされること30分! うううう、スルメになるう〜と死にかけそうになった頃にようやく順番が回ってきてゴシゴシやられたんだけど、正直言って、韓国アカスリを体験した身としてはちと物足りなかった。もちっとガリガリやっておくんなましな。
で、着替えが終わって、とりあえず何か水分補給しなきゃ、と番台で注文したのがオレンジジュース。


注文を受けたおっちゃんは、カゴにこんもりと積まれているオレンジの山から、男の人の握り拳くらいの大きさのオレンジを3つ、ザクザクと半割にして、まるでアンティーク雑貨のような優雅な形の果汁圧搾機に入れ、きゅっ、きゅっ、とコップに絞って、氷もなんにも入れずに、はいよ、って感じで渡してくれる。この作業、約2分。正真正銘、果汁100%、混じりっけなしのオレンジジュースだ。風呂上がりで喉がカラカラだったこともあるけど、あんなにみずみずしくてフルーティーなジュースは生まれて初めてだった。酸っぱすぎず、甘すぎず、すっきりとしていい香りがして。飲んでるそばから美肌になるみたい。


このオレンジジュースに味をしめて、イスタンブールを歩き回っている間中、オレンジのカゴが見える売店を見つけては「オレンジジュース!」と頼んだ。いつも手絞りの果汁100%。しかも値段は1TYL(約80円くらい)。こんなの渋谷のジューススタンドで買ったら400円くらいするぜ。リーズナブルなのに超贅沢。絞っているところを目の前で見ているからよりいっそうおいしく感じるんだろうなあ。こんどトルコに行ったら、食事は焼きたてのトルコパンとあの手絞りオレンジジュース、それだけでも満足しそう。チャイもトルココーヒーもいいけど、私はなんといってもオレンジジュースよ。


オットのブログhttp://d.hatena.ne.jp/t-b-s/に掲載された写真から。ホテル近くの売店

ここでもオレンジジュースを買って飲んだ。軒にぶら下がっているのがオレンジ。