必見のマツケン

おはようございます。今朝のBGMはベートーベンのバイオリンソナタNO.5「春」でございます。演奏はメニューイン(vo)・ケンプ(p)。うーむ、なんて芸術のかほり漂う朝でしょうか。今朝の朝食は昨夜のキムチ鍋の残りを雑炊にしようと思っていたけど変更変更。フランスパンとカフェオレです。とれびやーん。


さて、最近とみにお上品になっているワタクシの文化生活。知り合いに武蔵野音大卒の声楽家もいることだし、彼女にピアノと声楽でも習おうかしらと半分本気で考えていたりする。正統派発声法で格調高くあややを歌いたい。猫ふんじゃった以外のレパートリーを増やしたい。いままで漫然と選んでいた生活とBGMですが、これからはもちっと意識して、正面から芸術と向き合おうと決めたのでした。もうロンブーの番組なんか見ません!テレビは教育テレビ固定にしますっ! リルケとかも読みます! ユニクロは着ません! 食べるものも吟味します。血液サラサラにします! 


で、その文化のかほり高い生活の第一歩として、行ってきましたよ、これに。

マツケンサンバスペシャルコンサート in 土浦


うわーっ! すみません、すみません。アホです、バカです、私。


いやね、土浦在住の友人がわざわざ朝イチで行列してまでチケット取ったんですよ。半分おつきあいみたいなもんだし、先入観を持たず、えり好みせず、なんでもトライするのが真の文化人。日本の文化の裾野を確認する意味でも、たまにはこーゆーシモジモの人間が好む大衆芸能もテイスティングしてみなければ。あくまでもお勉強の一環です。


でね、そのコンサート。超満員の観客は全員「マツケンサンバ」目当て。サンバ棒とか金色のはっぴなんかバッチリ準備しちゃって(いずれもグッズ売り場で売られていた)、踊る気マンマン。私は、しかし、コンサートは2時間、マツケンサンバはどんなにひっぱっても15分だろ? どうやって2時間ももたせるんだろう? と不思議に思っていたのですが、さすがそこはプロのやることです。だてに6500円も取ってません*1


一曲目から眼底を直撃する総スパンコールの着流しで登場したマツケン。歌うは「マツケンマンボ」。さらに、腰元シスターズというバックダンサーを従えて、「涙そうそう」「花」などの沖縄系ヒットメドレー(喜納昌吉が見たら怒り狂いそうな奇妙な琉球舞踊風ダンス付き)、「暴れん坊将軍」の主題歌・挿入歌、腰元シスターズ中のコンマスとデュエットで歌う愛のメドレー。フランク永井ばりの低音でセクスィーに歌い上げる「浮気ならいいわ」......あいまあいまに腰元シスターズの群舞が挿入され、舞台装置・照明もめまぐるしく変化。マツケンも5回くらいお色直しして、美川憲一小林幸子と宝塚と新宿2丁目のゲイバーと銀座のクラブをまとめて鍋でぐつぐつ煮て発酵させたような豪華絢爛・摩訶不思議・奇妙奇天烈なプログラム。なんとかして2時間もたせようという苦心の跡が見て取れる必死な感じの演出でした。


しかし! いくらスタッフが知恵を絞った演出を凝らしても、観客は全員「マツケンサンバ」を待っているわけで、マツケンがムード歌謡っぽい持ち歌を披露しても、腰元シスターズが張り切って踊っても、場内の雰囲気は「んなもの、どーでもいいから、早くマツケンサンバやってくれ! 踊らせてくれ!」というテンションが高まるばかり。私なんか、マツケンの歌の時にトイレ行っちゃったもん。誰も松平健に期待していない。願いはサンバ、ただひとつ。会場総ブラジル人。


休憩を挟み、後半になってようやく「サンバモード」に。マツケンサンバの振り付けで一躍有名になった真島茂樹先生も登場し、歌おぜ踊ろぜ、アミーゴ!的なノリノリの曲になっていきます。腰元シスターズも楽しそう。マツケン、ちょっと苦しそう。しかし、真島先生はさすがベテランのダンサーだけあって、ダンスの迫力が違います。そりゃあもう至福!というような満面の笑みを浮かべつつ繰り広げるそのダンスはひときわ鮮やかで目を奪われました。


そして、いよいよマツケンサンバ!! 場内も一気にヒートアップ。休憩時間に持ち込んだ饅頭とお茶で和んでいたばあちゃん達も、揃いのハッピで決めてきた団体も、もちろん我々も総立ちです。私も、日頃聴いているモーツァルトやバッハなどをひとまず忘れて、ブラの肩ひもが外れるほどノリノリで踊りまくりましたよ。ちゃんと腰を「クイッ」とひねったし、間奏では「健さーん」「オーレ!」と合いの手も入れました。でも誤解しないで欲しい。あくまでもこれは日本文化の裾野探求です。リサーチなのです。私の本性がマツケンサンバというわけでは決してないですから!


マツケンサンバコンサート」というだけあって、マツケンサンバはフルコーラスで3回ほど繰り返してくれました。2回目までは「うっひゃー!!」って感じで我を忘れて踊っていた私ですが、さすがにアンコールあたりから「私はいったい何をやってるんだろう......しかもS席だし......」と、自己の存在意義がやや疑問になってきましたが。


というわけで、マツケンサンバスペシャルコンサート in 土浦。シモジモの者が喜んで踊っていたので、まろもうれしいぞ。歌えよ、踊れよ、皆の衆。マツケン一派も、今のうちに稼いでおきなさい。


しかし、マツケンはもういい年で、10㎏くらいあるあの総スパンコールの衣装で踊りっぱなしで、後半、足取りがかなりヨタヨタしていたけど、顔にはちっとも汗をかいてなかった。さすが時代劇俳優。今度はその華麗な立ち回りを見たいもんです。っていうか、もう行かないけど。

*1:高い......