パパのかんそう

先日の帰省中、弟一家を訪ねたときのことです。
現在二人の女の子(かおちゃん・4歳 みおちゃん・6ヶ月)の父親である弟は、見ているこっちが恥ずかしくなるくらい子煩悩なマイホームパパです。私が姪っ子のかおちゃんにおもちゃを買ってあげようとすると
「かおの想像力が伸びなくなるような粗悪品のおもちゃはいらないからな」
だの
「パズルや積み木は信頼できるメーカーのちゃんとした商品じゃないと、かえって悪影響だからな」
だの
「安い絵本はダメ。適当な絵や文章の絵本はかおの情操によくないから!」
だの、まあ、うるさいうるさい。家に遊びに行くと頼みもしないのに、
「これ、かおちゃんの一年のアルバム。とこり姉ちゃん、まだ見てないだろ?」と、ずっしり重いアルバムを手渡され、見ることを強要されます。そりゃあ、かおちゃんは私にとって初めての姪っ子だし、かわいいことはかわいいのですが、そんなに分厚いアルバムを渡されてもちょっと困っちゃうわん。


一通りアルバムを眺め、かおちゃんとカルタなどをして遊んでいたら、テーブルの上に保育園の「れんらくちょう」が置いてあるのが目にとまりました。ぱらぱらめくってみると、驚いたことに「ご家庭からの連絡」の欄はほとんど弟が書いているのです。うわあ、すごいなあ、連絡帳まで書いちゃってるよ。うちの父親なんか通知票もろくすっぽ見てくれなかったのにさ。徹底した放任主義で育てられると反動でベタ甘のマイホームパパになっちゃうのかしらね〜。しっかし、弟の字、へったくそだなあ。小学校の頃から全然成長してないよ。どれどれ、どんなことを書いているんだろ? と拾い読みしてみると、

  • ○月○日

今日は家族みんなで近くの公園まで遊びに行きました。一緒にかけっこをしたりしてたくさん運動したので、少し疲れたようです。

  • ○月○日

昨日は『保育園で豆まきしたよ』と話を聞かせてくれ、鬼のお面を見せてくれました。家でも豆まきをして楽しそうでした。自分の年齢の分だけ豆を食べるんだよ、と教えたら、ちゃんと3つ数えて食べていました。

  • ○月○日

最近は母親が忙しいと、自分からお手伝いをしてくれるようになりました。妹ができたので自覚が出てきたようです。

等々、文面全体から「よきパパ」オーラがにじみ出る、愛情あふれる言葉の数々。私はすっかり感心してしまいました。
いやあ、やっぱり親になると違うのね〜。甘ったれで、4歳まで哺乳瓶が手放せなくて、気に入らないことがあるとひっくり返って泣きわめいて、お気に入りのタオルをしゃぶりながらじゃないと絶対に寝付けなかったあの弟がねえ。いまじゃむしろ私の方がガキだわ......。


と、シミジミしながら、さらに読み進めていると

  • ○月○日

今日は、髪が伸びたので、母親に髪を切ってもらっていました。前髪を少し切ってリボンをつけました。
とてもかわいいです。


「とてもかわいいです」って......。
そりゃ、あんたの娘だもん、かわいいだろうさ。でも、それは「感想」であって、「連絡事項」ではないと思われ。その日の保育士さんのコメント欄には

「かおちゃん、新しい髪型がご自慢のようでした。ほんとにかわいいですネ!」

と書かれていました。
「親バカにもほどがあるわよねえ」と苦笑しながら書き込んでいる姿が目に浮かびます。愛は盲目とはよく言ったものだ。ま、幸せそうで何よりです。