ドリカム編成妄想

もう先週のことになるんですが、浅草橋の小さなレストランで、お友達の摩竿君が出演するジャズセッションを観てきました。


摩竿君のユニットは「Dolphin Smile」という名前。どるひんすまいるですって。なんか横文字でかっこいいじゃん。 イルカの微笑みというこのバンド、メンバーはそれぞれ昼間はサラリーマンとして働きつつ、週末の夜はあちらこちらのライブハウスに出没して小粋な演奏を聴かせているらしい。


ジャズっていうのは、みっちり練習してリハーサルして作り込んで作り込んで......というタイプの音楽じゃないらしいのでリラックスして聴けるし、プレイヤーたちも「ここはこういうイメージの雰囲気のフィーリングの感じの気分で」「おっけいおっけい」と感じで伸びやかに演奏しているのが傍で見ていても楽しそう。私は正直言って、ジャズという音楽にはイマイチピンと来ないままなのだけど、ジャズが流れている雰囲気とか演奏している人を見るのは大好きなのです。


で、この「Dolphin Smile」、編成は女性ヴォーカル+ベース+ピアノという往年のドリカム編成なんですよ。で! この女性ヴォーカルがやたらかっちょよくって、ワタクシお酒飲みながらジェラシーメラメラでしたのよ!


なにがかっちょいいかって、このヴォーカルの女性が美人! 普段着をほんの少しゴージャスにしたくらいのシンプルなステージ衣装でしたが、ドレッシーなブラウスからは「どうよ」という感じで白くしなやかな二の腕がのびていてます。セミロングの髪の毛をかきあげかきあげ、ときおり小耳にかけたりしながら、両手でマイクを包み込むようにして歌います。ある時は甘く、あるときは小鳥のさえずりのように華やかに、またある時は気怠いため息のように小さく細く、その歌声は変化自在。


自分の歌のパートが終わって、ピアノやベースのソロが始まると、リズムに合わせて軽く身体を揺らしたり小さくハミングしたり、ゆったりまったりと音楽の波に揺らいでいる感じ。その間もあのセミロングの髪をかき上げる仕草でポイントゲット。


演奏の合間の曲紹介も
「えーこの曲はほにゃららほにゃらら(英語)という曲で、いつまで待ってもあなたは戻ってこないのねでも私泣かないわ(うろ覚え)というような意味です。曲調は楽しいけれど歌詞の内容はけっこう暗いんですね」とか言っちゃって語学にも堪能みたい。あ、書き忘れたけど歌は全部英語の歌詞ね。その後も「さっきが失恋の歌だったのでこんどはハッピーな曲を......」とか「今日はお月様が出ているので月にちなんだ曲を......」とか、オットナーでセクスィーな話題満載。


んもー、なんなのこれ! かっこよすぎやしないかい?
だいたいドリカム編成というのがズルイ。しかもヴォーカル!どうやったって「女王様とお付きの者」的な、女性がモテモテに見える構図じゃないの〜〜!


さらに、これが10代20代のメンバーのマジな感じのロックバンドだったりすると、どうしても「必死感」が伝わってきて「この人達将来大丈夫かしら」「国民年金払っているのかしら」とかいろいろ考えちゃうんだけど、「Dolphin Smile」のメンバーはみんな大人なので余裕がある。「YAMAHAポプコン出るぜ!(古)」みたいにギラギラしていない。そんな大人のヨユーのなかでも一番大人のヨユーがあるのがヴォーカル。美人で、歌上手くて、髪長くて、英語できて、男の子を二人も従えて、浅草橋のおしゃれなレストランで愛だの恋だの歌って、演奏に入るタイミングをアイコンタクトしたりして、ステージネームは「yuki」ってまたしても横文字だし、もう隅から隅までズルイ、ズルスギル〜〜〜〜!!!


かたや私と来たら、髪は刈り上げだし体脂肪率は32%だし楽譜は読めないし英語の曲は「ろーろーろーやぼー」くらしか歌えないし男の人と一緒に「セッション」なんて夢また夢でセッションどころか男の人とカラオケに行った回数すら数えるくらい。いつも一緒にいる唯一の男性であるオットからは女王扱いされるどころか白熱灯をしょっちゅう消されてしまうような存在です。同じ女でありながらこの差は何? yukiさんってば圧倒的に勝ってない??


どこでどう道を間違えたんだろう。もっとさー、私も二の腕だして、ちょっとアンニュイな感じで髪をかき上げたりしつつ、ピアノとベースを従えて、右手にマイク、左手にワイングラスを持って巻き舌で英語の歌歌ってみたいわよう。で、ピアノもベースも絶対私のこと好きなんだけどお互いオットナーだから口には出さないの。さらに、私がいつも歌うお店のバーテンも私のことが密かに好きで、たちの悪い客に私がからまれた時とかは無言でかばってくれたりして、そして、店の常連の小金を持った不動産ブローカーは私のファンでやっきになって指輪やら車やらプレゼントしようとするけれど「ギラギラしている男ってウザイ」くらいに思っているの。それぞれの男の想いにはもちろん気づいているんだけど、「一人の男に縛られたくないの。今は歌が私の恋人」とかわしているんだけど、ほんとうの恋人はフランス留学の時に知り合った7才年下のコンテポラリーアーティスト(名前はセルジュ)で、彼が個展を開く際の資金を援助していて、自宅のリビングには彼がコラージュしてくれた私のステージ写真が飾ってある......って、そんな人生を送ってみたわよう!!! はあはあはあ。


「Dolphin Smile」のステキな演奏を聴きながらも私の脳内ではこのような嫉妬と妄想がぐるぐる渦巻き、コーフンしてワインをガンガン飲みまくり。休憩時間に私たちのテーブルまで挨拶に来てくれた摩竿くんとyukiさんに上記の脳内妄想をまくし立て「yukiさん、ちょっとズルくない?」と大騒ぎしていたら「すげえ、『しゃべりたがる私』のナマだ〜」と言われました(二人ともこのサイトを読んでいるらしい)。さんざん「ドリカム編成はズルイ」「私もジャズシンガーになる」と大騒ぎして、終電のつくばエクスプレスに乗り込んでほんの少し酔いが覚めた頃、オットの突き刺すような冷たい視線がとても痛かったです。


というわけで、ドリカム編成のオットナーで小粋でチャーミングな「Dolphin Smile」のライブの夜はとても楽しゅうございました。次回は7月22日、浅草橋のピッツァリア「BUONO BUONO」というお店です。。このお店のピッツァ、ちょっとびっくりするくらいおいしいです。ピッツァ以外のお料理もおいしいし、お値段はすごくリーズナブル。おすすめです。7月22日には私も行きます。yukiさんからマイク奪って夢のドリカム編成で「ろーろーろーやぼー」を歌ってやるわ。


考えてみたらドリカムの西川は薬でタイーホされたから、今はドリカム編成なんていっても通用しないのか。でも私の脳内のドリカム編成バンドでは、ピアノとベースがヴォーカルを奪い合って刃傷沙汰になるのです。そして傷心の私は恋人の待つフランスへ旅立ち、パリの場末のジャズクラブでまた一人で歌い出すというシナリオ。というわけで、現在のワタクシのBGMはこれです。
Woman The Best Jazz Vocals