訴えられた私

一ヶ月ほど前のことになりますが、買い物帰りに、マンションの集合ポストから夕刊を取り出したら、こんなハガキがひらりと。


民事訴訟裁判告知


今回、貴方に対する民事訴訟裁判の訴状が提出された事を通達いたします。
貴方は回収業者及びお取引契約会社に対しての契約不履行につき原告側が提出した訴状を管轄裁判所が受理した事をご報告致します。

下記の裁判取下げ期日を過ぎますと改めて出廷通知が届きますので記載期日に出廷して頂くようお願い致します。
こちら民法188条に基づいた財務省認可書となっておりますので出廷拒否されますと原告側の主張が全面的に受理されど裁判後の処置と致しましては被告の給与及び、動産物、不動産物の差し押さえを執行官立会いの下強制執行させて頂きます。
また、履行執行官による〔執行証書の交付〕を承諾して頂くと同時に債権譲渡証明書を1通郵送させて頂きますのでご了承ください。

尚、書面通達となりますので個人情報保護の為詳しい詳細は当職員までご連絡下さい。

※ご連絡なき場合には本書を勤務先に郵送させて頂きます。


裁判取り下げ期日                   平成19年7月3日



〒100-0024

東京都千代田区永田町1−1−6

財団法人 東京中央管理局

03-5818-6017 (管理部)
電話受付時間 9:00〜18:00( 土・日・祝日を除く)


げげっ、訴えられた!? なぜなぜなぜ? どうしてなのっ?? まったく身に覚えがないけど、ザッパーな私のことだ、カードの支払い請求書かなんかをどっかに紛失して踏み倒しているなんてこともあるかもしれない。急いで調べてみなくてはっ! てゆうか、これ、裁判取り下げ期日の7月3日ってもう明日じゃん! どうしようどうしよう、私って被告人? 


と、突然のことで頭は真っ白。驚きと不安で頭がおしっこちびりそうになりながら部屋に駆け戻る。とりあえず出張中のオットに電話しよう、ああ、でもこんなヘンなことにオットを巻き込みたくないなあ......と半べそをかきながらオットに電話したけど、こういうときに限ってつながらない。うわー、このハガキによると「東京中央管理局」の電話受付って18:00までじゃん! もう今日は業務終了、明日は裁判取り下げ期日じゃん! あー明日の今頃はボクは被告人?? 


と、ひとしきりパニクった後、ふと我に返ると、このハガキ、なんかヘンだ。
だって、裁判告知なんて超大事な書類を官製ハガキ一枚で送ってくるか? 普通は内容証明でしょ?
しかも、よく読むと
「尚、書面通達となりますので個人情報保護の為詳しい詳細は当職員までご連絡下さい。」
って、言ってることとやってることが矛盾してないか? さらに
「貴方は回収業者及びお取引契約会社に対しての契約不履行につき原告側が提出した訴状を管轄裁判所が受理した事をご報告致します。」
って、主語と述語が混乱した妙な日本語だし。東京中央管理局の住所は永田町だけど、ハガキの消印はなぜか田園調布? 宛名はいかにも安っぽい印刷のラベルシール?。


なんかヘン、なんかヘン、とりあえずググってみたら......http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rls=GWYD,GWYD:2006-23,GWYD:ja&q=%e6%b0%91%e4%ba%8b%e8%a8%b4%e8%a8%9f%e8%a3%81%e5%88%a4%e5%91%8a%e7%9f%a5

山ほど出てきました。有名な架空請求詐欺なんだそうです。ああびっくりした。

冷静になって考えれば、つっこみどころ満載で一瞬でもまに受けたのもアホらしい内容なのだけど、他に相談する家族がいなくて、しかも「期日」が直近の日付で、「裁判」「債権」「差し押さえ」なんて法律用語が赤字で並ぶとドキっとしちゃうわよね。私はまだグーグルで調べて詐欺だとわかったけど、独居老人なんかだったらけっこう簡単に引っかかっちゃうんだろうなあ。


あとでバイト先でこのハガキの話をしたら、ちょっと前のニュース番組の特集でも紹介されていたそうです。

ハガキが来る→直近に迫った「取り下げ期日」に驚いて「東京中央管理局」に電話→そこで指示される銀行口座に着手金とか示談金とかなんとか、いい加減な名目の金額を払い込まされる


というパターンなんだとか。
下手な鉄砲も数打ちゃ当たるじゃないけど、このハガキの被害者ってどれくらいいるのかしら。純朴な小市民を脅かしてあぶく銭を手にしようとする悪人どもめっ! 地獄に堕ちるがよいわっ!


というわけで、賢明な皆さんはまさか引っかからないとは思いますが、念のため「東京中央管理局」からのハガキには要注意ですわよ。