家族サービス

「家族サービス」って誰がいつ頃から言い出した言葉でしょうか?
GWやお盆休みになると「家族サービスで遠出する車の列が長い渋滞を引き起こしています」てな具合に使われますが、この「家族サービス」って言葉、「ほんとはこんなことしたくないんだけどさ〜、たまには点数稼いでおかないとあとあとつらいしね......とほほ」という「しぶしぶ感」「やれやれ感」が漂ってきて、ちっとも楽しそうじゃないんですよね。「家族」という、本来もっともハートフルで自然なもの(であるはず)の形態が「サービス」という商業的・打算的な行為とくっつくことによって、うさんくさくなってしまうんだよなあ。


連休中に家族で遠出したところで、実はあまり楽しくなかった、っていう思い出ありませんか?
私、家族揃っての旅行とか遠出で楽しかった思い出ってホントないんですよね。記憶に残っているのはとにかく「気疲れした」ということくらい。


私の父親は、普段は家庭のことなどいっさいお構いなしだった人で、日頃から積極的に子どもと遊ぶとか、どこかに連れて行くとか、ほとんどしなかったのです。母親は父親のそういう態度にいつも不満を募らせていて、口やかましく「団らん」「ふれあい」みたいなことを言うわけですよ。普段はシカトしていた父ですが、それでもGWや夏休みになると、気がとがめたのか母にうるさく言われて根負けしたのか、まさしく「しぶしぶ」「やれやれ」という感じで「家族サービス」として、ドライブ旅行などに連れて行ってくれました。


でも、こういう時のお出かけって、たいていろくなコトにならない。親がいやいややってることって子どもにも伝わるんですよね。朝、出かける頃からやれ支度が遅いだの忘れ物があるだの、細かいアクシデントが重なって、すでに車の中はなんとなく重い空気。小さい弟や妹はすぐぐずるし、父と母はお昼を食べる場所やタイミングを決めるのに口げんかを始めるし、渋滞に巻き込まれるし、天気は悪くなるし、子供心にも「まいったな〜」という感じでした。けど、ここで私までもが不機嫌になってしまったらそれこそサイアクの険悪になってしまう! 楽しく盛り上げなきゃ! と、幼いなりにも気を遣って必要以上にはしゃいでみせたりしたもんです。大きな声で歌を歌ったりしてね。ああ、子どもの頃から苦労性な私。


......てなことをオットに話したら、オットもやはり「家族揃ってのおでかけ」にはあまりいい思い出がないらしく、「とにかく出発するまでにケンカ、着いてからケンカ、って感じだったんだよね」とため息をついていました。


普段やりつけないことをすると、みんながぎくしゃくしてろくなコトにならないんですね。キャンプだろうが海水浴だろうが遊園地だろうが、不機嫌な顔の親に連れて行ってもらうんじゃ魅力半減。親が楽しくないことならしない方がいいと思います。「プライスレスな思い出」だかなんだか知らないけど、あまり無理して「サービス」なんかしないで、普段どおり、家でのんびり鼻くそほじりながらテレビでも見ていた方が子どもにとっては気楽なのかもしれません。子どもは子どもでけっこう気ぃつかってるんですから。


てなわけで、GW後半、みなさま楽しくお過ごしくださいね。