「本格的」が好き

最近、市内の紅茶専門店が主催する「紅茶セミナー」に通いはじめました。
月に一回、そのお店のティールームで、ティーインストラクターの先生から、美味しい紅茶の淹れ方・紅茶の歴史・フレーバーティーの味わい方など、紅茶にまつわる細々とした知識を「お勉強」するのです。


居心地の良いティールームで美しい調度品に囲まれて、美味しいお紅茶とおケーキがユーガにいただけて、カルチャーな気分も味わえて、一粒で二度美味しいティータイムって感じなんです。ランチ一回分のお値段だし、ほんの2時間の夢のひととき。


月一回で4回連続講座になっているのですが、4回すべてを修了すると、きちんと「修了証」をくれるらしいです。私がいま受けているのが基礎編で、このあと応用編もあります。紅茶文化の歴史的背景とか、MYブレンドティーの作り方とか、何十種類もの紅茶のテイスティングとか、ティーパーティーの開き方とか、なかなかきめの細かい講座の数々です。イギリス人だってこんなに真面目に紅茶のことを勉強したりはしないでしょう。すべての講座を終えて「修了証」をもらえる頃には私はイギリス人よりも紅茶に詳しくなっているはずです。


そういえば、先日購入した雑誌の「英国式ティータイムの招待状」という特集号に、イギリスのハロウという街にある「紅茶教室」の紹介文が載っていました。

本場で学ぶからこそ見えてくる紅茶の魅力

英国紅茶を学ぶなら本場に行くのが近道と思いがちだが、実は英国で紅茶を専門に教えてくれる機関はほとんどない。そんななか、紅茶のことを専門立てて教えてくれる紅茶教室「インフューズ」は貴重な存在だ。主催するのは日本紅茶協会のシニア・ティーインストラクターの資格を持つスチュワード麻子さん。もともと紅茶を学ぶ機関がないところに、日本人の先生から紅茶を学ぶことが出来るとあって、インフューズには在英の日本人の女性達が数多く集まり、コースの予約もすぐに一杯になるという。
「英国では紅茶はあくまでも日常の飲み物としてのとらえ方が強く、趣味的な色合いが少ないんです。それに、専門家は通常、フルタイムで仕事をしているので、趣味的に紅茶を教える人材がいないんですね」と語るスチュワード麻子さん。――
(赤字 引用者)


茶の本場イギリスにありながら、日本人が紅茶を教え、日本人が学ぶという、この奇妙な構図。
つくづくニッポンジンって「本格的」が好きなんですね。実際は、「紅茶の本場」イギリス人が飲む紅茶はほとんどがティーバッグで、フォートナム&メイソンやハロッズなどの高級ブランドリーフティーを購入するのはほとんど日本人だそうですし。


ナニゴトに対しても好奇心旺盛で研究熱心なところは日本人の国民性の得難い美点だとは思うものの、なんとなくこそばゆい感じもします。イギリス人がふつーにティーバッグで紅茶をがぶ飲みしている傍らで、紅茶の歴史やらテイスティングやらを「学び」、「美味しい紅茶を淹れるためのゴールデンルール」などを暗唱ししているニッポンジン......。あまりにきまじめで、なんか、ちょっとヘンかも。


――てなことを書きながら、私が飲んでいるのはフォションアールグレイで、きちんとゴールデンルールにのっとって丁寧に淹れて、キャンドルウォーマーで温めているものです。私も「本格的」が大好きな真面目なニッポンジンなんです。

RSVP 第1号 特集:英国式ティータイムへの招待状

RSVP 第1号 特集:英国式ティータイムへの招待状