真夏の断食大作戦! 4日目 噛む噛むえぶりばでぃ

7月31日(木) 4日目。
6時起床。いよいよ今日から回復食が始まる。空腹感にはだいぶ慣れてきたとは言え、この3日間、1日中水分オンリーというのは文字通り「味気ない」日々だった。今日は、あたたかいもの、味の付いたものが食べられるのよ〜〜〜。と思うと、わくわくしてきて部屋の窓を開けてちゅんちゅん鳴いている小鳥たちに向かって「おはよう〜! みんなー、ハッピーかーい?」と声をかけたくなるほど。


8時の体操と物理療法を終え、10時にいよいよあこがれの食堂へ。

この施設に入所して4日目。ようやく食堂の席に着くことができたわ。歩いて20秒ほどのこの食堂までの道のり、いやあ、長かったこと。さあさあ早くメシを出せ、メシを!!


じゃじゃじゃじゃーん。いよいよお待ちかね。4日ぶりの「食事」だ。

玄米粥の重湯と具なし野菜スープ(味付けなし)。合計40kcal


こ、これだけ......?
話には聞いていたからそんなには驚かないけど、3日間も空腹を抱えてありとあらゆる美食を妄想していた私に、このお膳はやはり寂しすぎる......。食事っつーか、ほとんど水分じゃん! 昨日までとあまり変わらないじゃん!


気を取り直して重湯を一口すすってみた。

「......うんま〜〜〜〜〜い!」

いろんな断食体験記で、異口同音に「断食後には味覚が非常に鋭敏になっているので、米粒すら浮いていない重湯でもすごく美味しく感じる」てなことが書かれていたけど、ほんとにその通りだった。玄米の重湯のたとえようもない香ばしさ、まったく味付けをしていない野菜スープの深〜い甘み。いやあ、びっくりした。甘辛しょうゆ味が大好きなこってり大魔神のワタクシが、こんな超粗食に感動してしまうとは! さらに驚くことに、重湯もスープも半分まで食べたあたりから「お腹一杯です。もういいです」状態になってしまったのだ。食べ終わった頃には胃がすっかり満足してゲップまで出そうになっていた。3日の断食で小さくなった胃袋は、これっぽっちの量の食事でも十分に満足できるものなのね。


大満足の食事を終え、昼からは古くからのネット仲間であるるりすずめさん(神奈川在住)が来てくれて、退屈だろうからとドライブに連れ出してくれた。いやっほう!
道すがら、昨日の夕ご飯なに食べました? 朝ご飯は? トンカツ? もちろん千切りキャベツも? キャベツにはソースも? あああああ、たまらん〜〜っ、と、他人の食卓を微に入り細にわたって質問しまくり答えに身もだえしまくり、呆れられる。温泉マニアでもあるるり姉さんの案内で、国道沿いにある小さな露天風呂へ。

目隠し用の柵は申し訳程度の高さしかないので、防波堤でつりをしているおじちゃんとばっちり目が合うオープンさ。断食中の私のむちむちヌード、見られたかも? 金取ればよかった。
るり姉さんと会うのは数年ぶり。久々の再会わずか30分後にもう二人ともすっぽんぽん。お互い、手術経験者なので傷口の見せあいっこなどをしながらしばしゆったり。
きちんと食事をしたせいか、身体のだるさも浮遊感もなく、のんびりお風呂が楽しめた。


そのあと、美味しいと評判の干物やさんに寄っておみやげを買ったり、小さな個人美術館「アフリカンアート・ギャラリーin伊豆」で、おそろしく即物的な木彫りの像を見たり。観光地に乱立する個人美術館って、勘違い&悪趣味なものが多いけど、ここは建物のセンスもよかったし収蔵品もユニークで親しみやすく、十分楽しめた。そのあとエスニック雑貨屋さんや一碧湖の周りのんびりお散歩(まるでつきあい始めのカップルの最初の旅行みたいだ)。それにしても久しぶりの娑婆、とにかく食べ物の看板が目について困った。朝、玄米の重湯に感動していたはずなのに、「あ、すき家の牛丼」「あ、ナシゴレン」「あ、ソフトクリーム」などと私がいちいち反応するので、るり姉さんはそのたびに「はいっ、もう行くよ!」と手を引っ張って引き離してくれた。
ほんとなら、湖畔をお散歩した後に湖を見渡せるこじゃれたレストランでユーガにおランチ♪となるはずだけど、断食中の身なのでふたりともペットボトルのお茶のみ。味気ないデートでごめんね。つきあってくれてほんとうにありがとう。
4時頃、るり姉さんにセンターまで送ってもらい、今度は食事付きで会おうね!と言ってお別れ。


5時、夕食の時間。夕食......ああ、なんて甘美な響き......。朝と晩、2回も「食事」ができる、それだけで一日の充実度がぜんっっっぜん違う。生きてる!って感じするわ。
で、お待ちかねのディナー。


主食は朝と同じく玄米粥の重湯だけど、スープには巨大な豚角煮が2きれも!ブラボー!!
......というのは嘘で、パッと見だと豚の角煮だけど、じつはただのお麩。それでもほぼ4日ぶりに「固形物」を口にして、ようやくほんとうの意味で「食事」をしたという満足感が得られた。「噛める」ってスバラシイ! 噛む噛むエブリバディ! 総カロリー60kcalだけど、巨大なお麩だけで十分満腹。でも、スープは朝食に食べたときほどの感激は薄れ、「やっぱりこの辺でお塩をひとふりくらいしたいよなあ」と思ってしまう。味覚が通常モードに入りつつあるのね。


さあ、6泊7日の断食大作戦もいよいよ大詰め。明日の食事からはもっと「固形物」が増えていく。自分の味覚がどのように変化していくのか楽しみ。けど、食事をするとせっかく落とした体重が元に戻ってしまうのではないかという不安もある。でも、断食施設とは、入所中には体重を落とすのが目的ではなく、嗜好や味覚のリセットをするための施設であって、ほんとうのダイエット効果はむしろ日常に戻ってからの食生活がカギになるという。今朝、3日ぶりに食べた重湯のおいしさをしっかり舌に焼き付けておこう。