真夏の断食大作戦! まとめ ココロとカラダのオーバーホール

断食の目的を「体重を減らす」ということだけに絞るのであれば、私の場合、効果はビミョーなとこです。だってスタート時からたったの1.5kg減。1.5kgなら、2時間くらいぶっ通しでエアロビでもやればすぐに落ちるくらいの誤差の範囲です。もっとも私の場合、断食前からダイエットモードだったため、体重の減りが鈍かったらしいのですが。


しかし、それ以外の効果を考えると、これはもうばっちり。
特に美肌効果はすごいです。首筋や腕にしつこく居座っていたアトピー性の湿疹がみるみる薄くなりました。お肌はつるつるしっとりで、入浴後の保湿液さえいらないほど。それから顔のラインがくっきりシャープになりました。伊豆から戻ってから会った人全員に「顔がちっちゃくなったね!」「顔色いいね!」と言われました。出かける前までは見えていなかった鎖骨がうっすら現れてきました。ジーンズのウエストがなぜか緩くなっています。体重はほとんど変化していないのに、外見がこんなに変化するなんて不思議です。陳腐ですが「カラダの中からキレイになる」という言葉がはじめて実感できました。


なによりも、断食体験というのは、カラダのダイエットというよりも、心のダイエット効果の方がずっとずっと大きいんだと思いました。要は、「依存からの脱却」だったんだろうな。食べることが好きで、お料理も好き。なにを食べよう、なにを作ろう、どのお店に行こう......そんなことを考えているときが楽しくてたまらない――。「食」は私の最大の趣味です。それはいまでもこれからも変わらないと思いますが、ちまたにあふれ、日々更新される商品化された「食」情報に振り回されていると、次第に「欲しいから食べる」のではなく「そこにあるから食べる」という状態になっていました。もっと美味しいもの、もっと美味しいレストラン、もっともっと......と追い続けているうちに、「食」への依存度がどんどん強くなっていました。カラダは欲していないのに、目が、アタマが、心がほしがっているものを、無理矢理カラダに押し込んでいたのです。その結果がぶよぶよと醜くついた贅肉と脂肪です。「依存」と「逃避」は表裏一体。私はイヤなことがあったり一人で時間を持てあましたりすると、興味はすぐ「食」に向きます。なにかを食べることで心の隙間を埋めようとする「食」依存症だったのです。


そんな「食」依存症だった自分を自覚できたのは、実に得難い経験でした。


3日間も「食べない」なんて人生初めての経験で、ものすごくつらいんだろうと覚悟していましたが、やってみれば案外あっけなく、拍子抜けするほど。「なんだ、人間、2日や3日食べなくても別にどってことないのね」と思いました。
断食の後、はじめてすすった重湯とスープで得た、充実した満腹感。「なんだ、ただの重湯でもこんなに美味しいんだ」と思いました。


そう、「食べること」って、ほんとうはもっともっとシンプルなことなんですね。十分にお腹を空かせて、きちんとしたものを「適量」食べる。それだけのこと。断食のあとの「充実した満腹感」をカラダにしっかりと覚え込ませておけば、毎日毎日「ごちそう」を追い求めることもなくなるし、口寂しいからといってスナック菓子をぽいぽい口に放り込むこともなくなるでしょう。


たかが一週間の断食体験でいきなり悟りを開いた仙人みたいな食生活になるわけはないし、これからもお料理を作って食べて、美味しいレストランで楽しく食事をすることは人生の大きな喜びであり続けるだろうと思います。せっかく鋭敏になっている味覚ですが、もう一ヶ月も経てば、またもとのようにこってり味大好き♪ に戻っていることでしょう。なにせ煩悩まみれの希代の食いしん坊ですから。


ただ、ココロもカラダもせっかくリセットしたんだから、今のうちにカラダと舌に染みついた不健康な習慣はなるべく排除しておこうと思います。テレビを見ながら食べるスナック菓子、安かったからという理由だけで買ってくる冷凍食品や半加工品、外食先で「せっかくだから」と頼んでしまうもう一品、もう一杯。そういう「必要のないもの」を漠然と食べることはもうしたくないです。今、このタイミングなら「我慢する」のではなく、自然に「そういうのはもういいや」という気持ちになれそうです。そして、今回の経験で得た感覚を忘れないように、定期的に断食をしてココロとカラダのメンテナンスをしていこうかなあと思います。歯車がかみ合わなくなった機械をオーバーホールするように。


「食べること」について、根本的に考えさせられる断食体験、おすすめですよ。たまには「食べない」バカンスもいいんじゃないかしら?