ツアコンで孝行

沖縄の母がやってきます。
母は自分の姉妹と「旅行積み立て貯金」をやっていて、このたびある程度のお金が貯まったので、二人の妹たち(私にとっては叔母)と一緒に、「たまには贅沢させてもらうわよ〜!よろしくね〜!親孝行してね〜!」とどやどややってくるのです。


旅行に出ることは決めたものの、チケット取りも行き先も宿泊先も全部私任せ。そのくせリクエストだけは多くて、「東京タワーに登ってみたい」「はとバスに乗ってみたい」「夜景がきれいなところにいきたい」「紅葉狩りがしたい」「おいしいお魚が食べたい」「温泉にはいりたい」「旅館はお料理重視で」「旅館は部屋食で」「富士山も見たい」「駅弁というものも食べてみたい」等々、好き勝手なことばかりいます。沖縄からあまり出たことない母&叔母’sは、「本土に行けば沖縄で見られないものが何でも見られる」と思っているらしいのです。そのくせ、電車をいくつも乗り継ぐのはキツイから移動は最短距離で、などというもんだから、この数日間、旅行の計画書作りで毎晩遅くまでパソに向かっていました。


東京に近い温泉場と言えば箱根が定番ですが、4年前にハイシーズンの箱根を旅行したときにラッシュ時山の手線並に混んでいる箱根登山鉄道での移動や30分待ちのロープウェイにほとほと懲りたらしく、「箱根はもうイイ」とのこと。結局、三泊四日の旅行のうち、一泊は北茨城の温泉旅館、そこから高速バスで東京に移動、都心の高層ホテルで「28階以上確約夜景プラン」というのを予約して、最上階のレストランでユーガにおフレンチと夜景を堪能、という「初秋の北関東 印籠弁当食べながらのんびり温泉&シティホテルで夜景独り占めのアーバンナイト の旅」の旅程を組みました。各方面を調べまくり、問い合わせまくって組み立てた、移動も予算も必要最小限に抑え、その上グルメも温泉も東京観光も楽しめる完璧なプランです。よくやった、えらいぞ私!


すべてを私に丸投げしている母はのんきなもんで、「羽田に到着する飛行機の便名を教えて」と聞いても「チケットはミツコ(叔母)が持っているから当日までわからないわ〜。昼頃着くわよ」と言ったり、私のケータイ番号を間違って覚えていたり、しかもケータイの使い方をまったく理解していなかったりと、「ちょっとちょっと、だいじょうぶなの?」と頼りないこと甚だしい。


なにしろ、以前こちらに遊びに来たときは、自分が乗っていた飛行機はJALだったのに、ANAの手荷物引き取り所で延々待っていて、預けた手荷物がいつまでも出てこない紛失したと大騒ぎして係員に問い合わせたところ、「あれじゃないですか?」と指さされた場所を見ると、JALのベルトコンベヤーで母の荷物だけがぐるぐる回っていたというサザエさんもびっくりのうっかりさんなのです。無事につくばまでたどり着けるだろうか。不安だ。かなり不安だ。


「羽田まで迎えに行こうか?」と言う私に、「だいじょうぶよ! 口と足があれば、日本中どこだって行けるわよ〜。それより今夜は美味しいもの食べさせてね」と母。まあ、あれこれ迷って多少時間がかかっても、おんなきょうだい3人でわいわい言いながらだとそれはそれで楽しい思い出になるか。旅行中はお天気もいいみたいだし、いい旅行になればいいな。いったいどうなることやら。