マンモスかなP アトピー史

ここで話題になっているアトピーについて。私にも!ぜひ!言わせてください。マンモスかなP、苦闘の歴史です。


私のアトピーキャリアはすんごく長いです。母子手帳に「アトピー性皮膚炎」って書いてあるくらいですもの。約40年前ですよ?今と違ってっ当時の世間では「アトピーってなに?」という反応でした。とにかく肌が弱くて、汗をかくとすぐあせもになってかぶれました。おできができやすい、冬になると唇の周りが赤く腫れる(暖かい沖縄なのに!)、ちくちくする肌触りの洋服などにも敏感に反応して、長い間タートルネックのセーターは着られませんでした。手指はいつもかさかさに荒れていて指紋もほとんどない状態。マニキュアも塗れません。常に皮膚科に通っていて、湿疹がひどくなったらステロイド軟膏を処方してもらって塗る→ちょっと収まる→塗るのやめる→湿疹出る→塗る
の対処療法の繰り返しで何とかしのいでいました。


症状が一番ひどかったのは、OLの頃でした。なにがきっかけでいきなり悪化したのかわかりませんが、それまで手足だけだった湿疹が顔まで浸食してきて、おでこ・目の回り・首筋までかさかさで真っ赤。とてもとてもお化粧どころではありませんでした。


気温の急激な変化でもすぐ湿疹が出ました。寒い外気に当たるとすぐに「寒冷じんましん」が出、逆に寒いところから急に暖かいところに行くと体中がむずかゆくなってかきむしるといった具合。もちろん、いつも体のどこかしらがかゆいので、集中力が持続しません。なにより見た目のコンプレックスがひどかった。街に出ると道行く人がみんな私の赤くかさかさになった肌をみて嘲笑しているような気がしました。皮膚病って、本人は神経質なくらい清潔にしているんだけど、見た目が汚らしく見えてしまうんですよね。乙女盛りだった私にこの状況はきつかった。私が現在のようにひがみっぽくて歪んだ性格になったのは半分はアトピー性皮膚炎の責任だ。


アトピーが絶好調にひどかったとき、職場の同僚に紹介されて、「脱ステロイド」を謳っている皮膚科に行ってみました。そこで「ステロイドの恐怖」というビデオを見せられました。ステロイド漬けになったが為に皮膚がうすーーくなってしまい皮膚がズル剥けになって因幡の白兎のように悲惨な状態になった人の例、ステロイドの副作用が引き起こす腎不全や視力悪化、その他様々な害悪がおどろおどろしく描かれていて、いままでステロイド剤に頼っていた私はそうとうビビりました。ステロイド怖い〜。因幡の白兎ヤダー。


お医者さんは今で言う「脱ステロイド療法」の先駆け立ったのでしょう。彼が言うには
「とにかく家にあるステロイド剤は全部捨てなさい。肌を清潔にして保湿して、お風呂はぬるめで。規則正しい生活を心がけ、食品添加物、化粧品・シャンプー・リンスなどの化学物質は極力排除。使うのは病院が進める自然派化粧品だけ。食事は規則正しく健康的に野菜中心。できれば1ヶ月くらい温泉で湯治してください」とのこと。そして「自然治癒力を高めるための生活のしおり」というパンフレットを渡されました。


湯治って……。都会で一人暮らししてるビンボーOLがそんなことできるわけないじゃーん。規則正しい食生活だってそうとう難しいのに……と思いつつも、「ステロイドの恐怖」のインパクトがあまりにも強かったので、言われたとおり家にあるステロイド剤は全部捨て、なるべく皮膚に刺激を与えないように心がける生活をしてみました。


んがっ!! ステロイド塗らないと痒いの痒くないのってあーた! もうとにかく痒いのです。掻いちゃダメ! と我慢してるんだけど、すべての感情が「痒い」に支配されている感じ。しかも、いままで続けていたステロイドを急にやめたので激しいリバウンドが出てしまい症状も一気に悪化。まさに地獄の苦しみでした。痛みならまだ歯を食いしばって耐えることができるけど痒みに耐えることはできない。起きている間は理性で我慢できても、就寝中は無理。寝てる間中バリバリかきむしっていていつもシーツが血だらけになっていました。寝てる間にかきむしるのを防ぐためにミトンの手袋をして寝たりしましたが、朝にはいつも脱ぎ捨てられていて意味なし。


お医者さんに言わせると
「これはいままでのステロイド剤の毒の部分が一気に出たことによる一時的な悪化現象。徐々に症状も落ち着いてくるので、そしたら自然派治療でゆっくり時間をかけて治していきましょう」とのことでした。

でも痒みはなかなか収まらず、夜中に掻きむしった場所が炎症を起こしてさらに痒くなり、表皮がただれてリンパ液がにじんでくる始末。「皮膚に刺激を与えちゃダメ」とわかっていても我慢できずに超高温のシャワーを患部にあてて痒みを抑えたりしてました(これは最悪の対処法。熱いお湯で脂分がすっかり洗い流され、乾燥に拍車がかかり、炎症はますますひどくなった)


「薬に頼らず自然治癒力で」という理屈はなんとなくわかるのですが、とにかくこの痒みが収まらないことには心安らかに生活することもできない。ほんとうに毎日毎日憂鬱でした。


その病院には、日本全国津々浦々から患者さんが集まっていたので予約がとても取りづらく、予約しても診察してもらうまでに1時間くらい待たされました。通院の度に有休を取らなくてはならなかったので時間のやりくりもきつかった。で、肝心のアトピーがよくなったかというと……ステロイド止めた当初に比べれば症状は和らいだけど、常に痒いのは相変わらず。病院が推奨する保湿ローションや洗濯洗剤・台所洗剤も使っていましたが、「よくなった!」と目に見える効果はほとんどありませんでした。でも「時間をかけてゆっくりと体の中からなおしていく」という言葉を信じて痒みと戦っていました。湿疹だらけの自分の姿は見るのもイヤで、この時期の私の写真はほとんどありません。ううう、思い出すだけでもつらい日々……。一番おしゃれしたい盛りの20代前半だったというのに……。


長くなるので続く。