うれし恥ずかし初レース

走ることが習慣になってきて、「走るって楽しいな」と思い始めた2月の終わり。ランニング雑誌やランナーたちのブログを読んでいると、イヤでも目に入ってしまうのが「レースにエントリー」という言葉。


私の乏しいスポーツ知識ではレースっつったら、「オリンピック」「世界陸上」「東京マラソン」「つくばマラソン」「ホノルルマラソン」以上! という感じだったのですが、調べてみると、日本中のあちらこちらでほぼ毎週のように大小いくつものレースが行われているんですね。ニッポン人って走るのが好きなんですねえ。べっくらこきました。

一人で地道に走ってきて、5kmくらいならなんとか完走できそうな自信もついてきました。「レースにでる」という目標があれば、走ることへのモチベーションはさらに高くなるはず。なにごとも挑戦だ! と、まずは5kmのレースに出てみることにしました。

私の初レース、希望は3つ。
(1)4月に沖縄に帰省するので、沖縄で開催されるレースがいいな(帰省ついでにリゾート気分も味わえるしね)
(2)距離は5kmがいいな(なにせぴっかぴかの初心者だからね)
(3)ゆるめの制限時間、もしくは制限時間なしがいいな(完走できる確信はまだないしね)
(4)沿道にたくさんの応援団がいるといいな(お祭り気分で楽しく走れそうだしね)


しかし、私の帰省中に沖縄で開催されるのは「あやはし海中ロードレース」という大会のみで、種目は3.8km、10km、ハーフの3種。狙っている5kmがないっ! 困った! 


しょうがないので一番初心者向け(と思われる)3.8kmでエントリーしようかとも思ったのですが、はるばる茨城から遠征してきて挑む初レースが3.8kmっていくらなんでも物足りないよねえ。3.8kmならたぶん20分くらいで終わっちゃうだろうし……。


となると、10kmか? 10km? 10kmて!! つくばから土浦くらいまであるじゃない! しかも1時間半の制限時間つき。
そのときの私のタイムは5kmを40分前後。単純計算しても10kmで80分。当日の天候やコンディションによってはもっと遅くなるかも。制限時間内にゴールできるかかなり微妙な感じです。うーん、どうしようかなあ……。


周りのマラソン経験者に聞くと、「5kmを40分前後で走れてるんだったら大丈夫だよ!」「ヨユーだよ!」「最悪、後半歩いても制限時間以内には完走できるよ」
と口々に言ってくれるのですが、スポーツの「会」に出るのなんて、学生の頃の運動会以来。その運動会でも毎回毎回どじでのろまなカメっぷりをさらしていた私です。10kmなんて気が遠くなるような距離、一人で走りきれるのか? 考えれば考えるほど無理なような気がしてきます。


3.8kmか10kmか? それが問題だ……ハムレットのごとく悩むこと数日。そのとき読んでいた
この本

マラソン100回の知恵―サブフォーをめざす市民ランナーへ (平凡社新書)

マラソン100回の知恵―サブフォーをめざす市民ランナーへ (平凡社新書)


「初レースは少しくらい不安のある距離の方がいい。大丈夫、心配しなくても本番ではいつもよりずっと速く走れる」という言葉が。
よし! 生まれてこの方10kmなんて距離を自分の足使って移動したことないけど、なせばなるなさねばならぬナニゴトもナセルはアラブの大統領。レースは4月、まだ時間はあるさ!うりゃうりゃ〜!と「エントリーする」のボタンをクリックしてしまったのでした。


クリックした瞬間から怒濤のように押し寄せる不安と緊張の波。大丈夫だろうか?10km、つくば〜土浦間、ほんとに1時間半で完走できるんだろうか? 途中で心筋梗塞とか起こしたりしないだろうか?致命的なケガとかしてランナー人生(←大げさ)が終わってしまったらどうしよう? 運良くゴールできたとしても、ギリギリのヨレヨレのヘロヘロで沿道の見物客に指さされて笑われるんじゃないかしら?......考えれば考えるほど3.8kmにエントリーすればよかったような気がしてきましたが、もうエントリーしてしまったのはしょうがない。とにかく完走!なにがなんでも1時間半以内で完走する!ということだけを念頭に、今まで以上にきちんとトレーニングしようと心に決めたのでした。


「きちんとトレーニングする」と決めたものの、私のような初心者にとって怖いのは練習不足よりむしろ練習のしすぎによる故障なんだそうで。私も走りはじめて1ヶ月目くらいに、急激に負荷をかけたことによって起こる鵞足炎という故障をしてしまい、3週間くらい走るのはおろか歩くこともおぼつかなかったという痛い経験があります。


「休養もトレーニングのうち」と肝に銘じて、3日走ったら1日休む、ちょっとでも違和感を感じたらすぐに運動を中止する、筋力アップのためにスクワットやダンベルをがんばる。レース本番までにゆっくりでもいいからとにかくいちど10km走ってみる。と自分なりの「作戦」をたて、手帳の4月4日のところに赤いボールペンで大きく「あやはし海中ロードレース」と書き込み、ドキドキ半分、わくわく半分で、せっせと走り続けたのです。

つづく。