育てる係と飾る係

しばらく前から盆栽にハマっているオット。埼玉で仕事があるときにはその名もズバリ盆栽町というところまで足を伸ばし、あちらこちらの盆栽屋さんを冷やかして歩くのがひそかな楽しみ。見るだけでは飽きたらず、自分で盆栽を買い求めては自己流で剪定したりしていたのだけど、なかなかうまいこと育たないので「これはいっちょう基礎から勉強しなければ!」と、なんと通信制の盆栽教室を受講し始めてしまった。講師はオットが心の師と仰ぐ山田香織「先生」(オットは彼女の名前を口にするとき、かならず「先生」をつける)。こないだ、教材の盆栽が何ヶ月分かまとめてどどーんと送られてきて、我が家のベランダは一気に渋さ炸裂になってしまった。

サザエさんちの波平さんがハサミ片手にちょきちょきやりそうな雰囲気。
毎朝目が覚めるとまっさきにベランダに出て、「ブナの緑がずいぶん濃くなった」とか「アジサイが少しずつ花をつけ始めた」とか言って愛でている。水をやるときもジョウロを高く掲げて、やわらかく霧雨を降らすようにそっとかけている。うちの盆栽たち、私なんかよりよっぽど丁寧に扱われているわ〜。


私はと言えば、「育てる」草花よりも「インテリア」として飾って楽しむほうが性に合っている感じ。一時期ベランダガーデニングに凝ったことがあったけど、気が短いので「たくさん使えば使うほど効き目があるハズ!」と、肥料、除虫剤、農薬などをやたらめったらと使うもんだから、すぐにダメになってしまった。気長に成長を待つ、トラブルが起こったら根気強く観察して原因を除去する、ということができない。そのかわり、造形としての草花、「いけばな」は大好きだ。草月流のお稽古を始めて2年。最初の頃は「教科書通り!!」にしかいけられなかったけれど、最近ようやく好きな器・好きな花材でリラックスしていけられるようになってきた。今日は先日のお稽古で使ったカンガルーポーとバラ、シマバランを使って。


これは、去年の夏に私がいけたウンリュウヤナギの枝をオットが鉢植えにしたもの。一度切った柳の枝はなかなか根付かないらしいけど、春になってしっかり新芽が吹いてきた。オットはやっぱり育てる係。


私たちにこどもがいたら、どんなふうな子育てになっていたかな......と、ふっと考えてしまう。