噴射で憤死


先日焼いた「全粒粉のパン・ド・カンパーニュ」。しましま模様はコルブ型というかごに入れて発酵させたため。いつもはお砂糖やバターがたっぷり入ったリッチな生地のパンばかり焼くのだけど、たまには「通」っぽく、こういうリーンな生地もいいわよね、ヘルシーだし。と思ってこういう素朴なパンを焼いたけど、久しぶりに食べるリーンなパンは、なんだか物足りなく感じてしまい、バターやメイプルシロップをぺたぺた塗ってしまった。意味ないじゃーん。やっぱり私はフランスパンやドイツパンより、サクサクのクロワッサンが好きだし、クロワッサンより、甘いビスケット生地のメロンパンや、コロッケパンやら焼きそばパンが好きなんだなあ。ついでに言うと、パンより米のほうが100倍も好きなんである。パンは食べるより焼くのが面白いんだよね。お米を炊く作業はちっとも面白くないけどさ。


この日のパン・ド・カンパーニュ、ここまで焼き上げるのに、涙、涙の物語があったんですよ。ちょっと奥さん聞いてくれる?


その日、朝食用にパン・ド・カンパーニュを焼こうと、私は張り切って作業を開始。いつものように材料を計量し、混ぜ合わせて、こねて、一時発酵させ、分割してベンチタイムをとり、成形してさらに最終発酵させる、という作業を一通り終えた。ふう。


......さらっと書いたけど、あーた、これ、けっこうな手間なんですよ。
今ではかなり手慣れてきたけれど、それでもどんなに手際よく作業しても、最終発酵して焼き上げるまで最低2時間はかかる。冬場など気温が低い時季は3時間以上かかることもある。さらに、後かたづけもまた大変なのだ。ボウルやフードプロセッサーやスケッパーなどたーくさんの洗い物が出る。まあ、好きでやってるんだけどさ。


手間がかかればかかるほど、上手に焼き上がったときの達成感はひとしおなのだが、計量ミスや発酵時間見込み違いなどで、不出来なパンができあがったときのぐったり感というのは、これまたひとしおである。


今回のパン・ド・カンパーニュ、一連の作業を終え、最終発酵が終わった段階では計量ミスもなく、成形もうまくいき、ものすごーくいーい感じに膨らんだいた。これから天板にのっけて、いよいよオーブンに投入。20分もたてばこんがりおいしいパンが焼き上がるのである。毎度のことながら、この、オーブンに投入する瞬間が一番ワクワクするんだよねえ。


おっと、オーブンのフタを閉める前に、霧吹きで水をシュッとひとふき。このひとふきでパンの皮がパリっと焼き上がるのである。こーゆー細かい技を持ち合わせてるところがそんじょそこらの初心者と違うところなのよん。んもう、私ってば、テクニシャーン♪
と鼻歌まじりで、霧吹きで水をシュシュっと吹きかけたら......




うぎゃあああああああああ!!!!



私が手に持っていたのは霧吹きではなかったのです。
それは、よりによって

マジックリン・ハンディスプレー
換気扇やガスレンジなどの台所まわりのしつこい汚れを、泡の力で浮かせて強力に落とします。場所をとらないコンパクトサイズのスプレータイプで、キッチンで手軽に使えます。(製品HPより)

だったのです......。


なんで霧吹きとお掃除スプレーを並べて置くかなあ! んもう、私のバカバカバカバカ!!!


というわけで、先述の写真のパン・ド・カンパーニュは二代目なのです。パン焼き名人への道はあまりにも遠く険しい。というか、パン焼き以前に、ちゃんと台所整理整頓しろよ、自分......。