バブルのゴミ

「つくばスタイル・フォーラム」というイベントに行ってきた。
8月24日のつくばエクスプレスの開通を前に、つくばという街を全国的にアピールしていこうという目的で、地元の商店主や県や市のお偉方がつくばという街の特性を語り、沿線開発の概要を説明するという、わりかしお堅い内容のフォーラムである。


つくばエクスプレス関連で「都市機構つくばエクスプレス沿線地域PRスーパーバイザー」として名を連ねているのが、西川りゅうじんなる男。今回のフォーラムでもプログラムの目玉として「西川りゅうじんスペシャトークショー」というものがあった。


この西川りゅうじんって、聞いたおぼえのある名前だなあ......と思ってプロフィールを見てみたらいやまあ、これがすごいんだ。あっけにとられたよ、あたしゃ。

■学歴:一橋大学経済学部(1984年)及び法学部(1986年)卒業


●商品、業態、施設、イベント、地域活性化、遊休地活性化などの企画プロデュースに携わり、米国フォーチュン誌でマーケティングの達人と評されるなど、その分析力と企画力には定評がある。また、企業、官公庁、公的団体、NPOに対する生活者視点を重視する市場創造型の変化に即応した実践的コンサルティングは数多くの顧客から長きにわたり支持を得ている。
 

●都市機構つくばエクスプレス沿線地域PRスーパーバイザー 、都市公団東雲街なみ街区企画委員 、首都機能移転検討委員会専門委員、日本道路公団IT時代における高速道路のあり方に関する検討委員、経済産業省Japan EXPO大賞審査員、経済産業省新エネルギー普及委員、愛知万博キャラクター審査委員、東京モーターショーオフィシャルリポーター、(財)日本ウエルネス協会評議員、(社)コンピュータエンターテインメントソフトウエア協会日本ゲーム大賞アカデミー委員、読売広告大賞審査員、秋田県ストアデザインコンペティション審査委員長、茨城県つくば田園都市推進会議アドバイザー、柏ストリートブレイカーズ塾頭、日本橋21世紀イベント「日本橋フェスティレンテ」スーパーバイザー、千代田区街づくり懇談会委員、渋谷区百軒店商店会音楽の見えるまちづくり構想策定委員会委員長、武蔵野市吉祥寺グランドデザイン委員、長野県スキー再興戦略会議メンバー、愛知県「武将のふるさと愛知」軍師、奈良県観光PR大賞審査委員長、平城遷都1300年記念事業協会評議員京都商工会議所「京都・ビジネスモデル推進機構」アドバイザー、兵庫県広報アドバイザー、大分合同新聞社豊の国かぼす特命大使、鹿児島県本格焼酎マーケティング研究会座長、鹿児島県薩摩大使等を歴任する。


経済産業省ヒューマンメディア委員、岐阜県ソフトピアジャパン「メディアプラザ」企画検討委員、神奈川県KSPマルチメディアデジタルコンテストCD-ROM部門審査委員長を務めるなど、マルチメディア施設のプロデュース、デジタルコンテンツの企画制作も手掛けている。


一橋大学東京工業大学早稲田大学津田塾大学甲南大学の非常勤講師、拓殖大学客員教授を務める。 日本シミュレーション&ゲーミング学会理事、 日本イベント学会発起人、日本カジノ学会理事、日本計画行政学政策評価研究会メンバー。


●CNNでキャスターを務めた他、ビジネスや社会現象についてコメンテーターとして頻繁にテレビに出演している。
また、新聞雑誌、各誌に連載を持つ。


●アッシー、メッシー、ジモティコヤジなど流行語の造語でも知られている。


思い出した、思い出した、バブル華やかなりし頃、トレンドクリエイターとかなんとか、そんな肩書きでやたらマスコミ出てははったりかましていたインチキ臭いコンサルだ。「アッシー」「メッシー」「ジモティー」という流行語を作った、というのが「実績」としてカウントされてるあたりに当時の「栄光」が偲ばれる。最近姿を見ないなあと思っていたら、しぶとく生き残っていたのね。


しかしまあ、すごいですね。ざっとプロフィール見ただけでもつくばのみならず首都機能移転秋田県柏市日本橋千代田区、渋谷区商店街、吉祥寺、愛知県、奈良県、京都、兵庫、大分、鹿児島......これだけの地域の「町おこし」やPRに一役買ってるんだ。一度にこんなに引き受けて、あちこち飛び回って、ほんとーに「その街独自の良さ」なんてわかってるんでしょうか、この人。きちんと広報してくれるんでしょうか。


で、「スペシャトークショー」での西川氏の話。これがまあ、噴飯もののお粗末な内容だった。


「つくばは空がキレイだよね」
「つくばの人達は目がきらきらしている」
「つくば独特の空気が流れている」
「あまり人には知らせたくないような、とっておきの良さがある街」
「様々な個性をもった人々が集まっている『ピザパン』のような街」
とかなんとか、エライぬるくて抽象的な思いつきワードのオンパレード。どーせ、つくばだけじゃなくてどこでも同じこと言ってるんだろうよ。


こういう「ハッタリコンサル」のトレンドリサーチとか分析なんか、世間ではとっくに忘れられて相手にされていないというのに、地方都市のお役人たちの頭の中には
「街の知名度を上げたい」
「とにかく有名人に頼んでマスコミに取り上げてもらおう」
「なんか、派手目な経歴を持った専門家」
......とちょろっと調べて、それなりに名前が売れていて、政界やマスコミに顔が利きそうな、西川りゅうじんに白羽の矢が立った、そんなとこだろう。彼なら、糸井重里秋元康クラスの大物でもなく、自分たちの予算の範囲内で収まりそうだし。


しかしまあ、つくば市始まって以来の大イベントだっていうのに、なんでまたこんなロクでもない「バブルのゴミ」みたいな輩にPRを頼んだりするんだろう。もうちっとマシな人選なかったのかしら?


どうせ、西川某にとってはつくばでも大宮でも宇都宮でも、どこでも一緒なんである。ちょろいお仕事のひとつとしてテキトーにこなしていくだけ。「空がきれいな街」だの「目がきらきらしている人々」だの、そんな、日本全国どこでも通用するようなぬるぬるワードでPRされても、「アッシー」「メッシー」「ジモティー」みたいな一過性の「はやりモン」として消化されてしまうばかりじゃんかよ。バブルの遺産の「思いつきワード」を切り貼りして、それっぽいキャッチフレーズの2,3個もでっちあげればそれで一丁上がりってなもんである。それで、持って行くギャラは多分一番多いんだろう。


ったくもうムカムカするなあ。
今回のトークショーでも
「『勝ち組・負け組』という言葉がありますが、つくばという街はそういう単純な勝ち負けを越えた、『価値組』の街という気がすごくするんですよね」
なんて言ってて、まーた、そういう下手なだじゃれみたいなキャッチフレーズを作るのだけはうまいんだよね。いいなあ、ちょろいなあ。


私はつくばという街にはとても思い入れがあるし、8月のつくばエクスプレス開通をほんとうに楽しみにしている市民の1人。なのに、こんなちゃらちゃらした輩のやっつけ仕事でつくばが「アッシー」「メッシー」レベルにヘボく商品化されてしまうのかと思うと情けなくって涙が出るよ。ほんとにもう。