ぐるり、ルクルーゼ

先日、ヨーロッパに住んでいる友人からメールで「ルクルーゼを買おうと思っているだけど、どれを買えばいい?」と相談を受けたので、はりきって長いながーい返事を書き送りました。ここを読んでいる方々の中にも興味のある方がいらっしゃるかもしれませんので、加筆訂正してこちらにもアップしておきます。語るよ〜。


ルクルーゼのことならお任せください!! ふふふ......私はなんと5つも持っているのです。アホです(笑)。


以前は「猫も杓子もルクルーゼ」的な風潮にちょっと反発する気持ちもあり、RODGEのダッチオーブンを使っていたのですが、これ、性能は抜群なんだけど、なにせ後始末が面倒。あっという間にさびるので、鍋の中に具材を入れっぱなしにするのは厳禁。即、別の容器に移し替えて、洗って、から焼きして完全に水気を乾燥させて、オイルコーティングしないといけません。つやつやと黒光りしていて、ド迫力の重さと分厚さで、いかにも「頼もしいヤツ」という感じで好きだったのですが、ズボラーな私の普段使いにするにはメンテナンスにやや難ありという感じでした。


数年前、炊飯用のお鍋を探しているときにさんたさんにおねがいしたら、炊飯用にココットロンド(18cm)を届けてくれました。これが使い勝手がよくって、またたくまに増殖してしまいました。性能的にはダッチオーブンとほとんど変わりませんが、ほうろう引きなので、お鍋の中に具材を入れっぱなしにしていてもたちまちさびるということはありません。以前は縁の方に水気が残っているとそこからさびが回る、ということもあったようですが、日本仕様のものは防さび加工がされているので、そんなに神経質にならなくてもいいようです。なにより色と形がかわいいので、コレクション魂をかき立てるのよねえ。ガステーブルの上に赤や黄色やライムグリーンのお鍋がちょこんとあるだけで、パッと目を引いてキッチンインテリアのアクセントになります。


現在の私のルクルーゼコレクションです。

ココットロンドが18cm、20cm、22cmと2cm刻みで3つ。色はオレンジ・チェリーレッド・ディジョンイエロー
それからマルミット(別名スープポット)の22cm。色はフルーツグリーン。
それから先日の日記にも書いた湯豆腐用に、22cmのビュッフェ・キャセロール。色はブルー。


ココットロンドはオーソドックスな煮込み鍋で、ルクルーゼといえばこれ、という形です。

私は18cmロンドでご飯を炊いています。18cmだと2合炊けます。お鍋でご飯を炊くのは思っていたよりずーっと簡単でおいしいです。うちのように二人家族だと、一度に炊く量も少量、2合炊いてお茶碗5杯分くらいになります。炊きあがったら、その日の食事で食べる分以外はすぐに冷凍して、食べる分ずつレンジで解凍しています。炊きたてご飯に比べたら解凍ご飯の風味はどうしても落ちるけど、炊飯ジャーで長時間保存しておいたご飯よりは数段美味しいです。ルクルーゼ炊飯を始めるようになってから、電気炊飯器はまったく使わなくなったので友人に譲りました。炊飯器がなくなって始めて気がついたのですが、炊飯器がキッチンにしめるスペースってけっこう大きかったんですね。なくなった分、収納スペースにずいぶん余裕ができました。ココットロンド、私は炊飯用として使っていますが、基本、これだけあればたいていの料理はできます。一番の得意分野は煮込み料理全般ですね。分厚い鋳鉄製なので揚げ鍋がわりにもなります。二人分くらいのカレーなら20cmロンド、4人分なら22cmロンドが最適だと思います。


ココットロンドを3つも持っているくせに、誰かのレシピ本で見て一目惚れして買って以来、目下私が一番愛用しているのが「マルミット」。

別名「スープポット」とも呼ばれています。口径が広く、底が丸くなった土鍋のような形をした鍋です。口径が広いので「炒めてから煮込む」という料理、それも「炒り煮」のように水分が少ない料理を作るのに向いています。切り干し大根の煮物とか肉じゃが、筑前煮など、和食って「炒め煮」という手順が多いですよね? もちろん、ココットロンドでも同じようにできますが、マルミットの方が仕上りが早いです。ココットロンドに比べて浅いので、テーブルにそのまま出しても具が取り出しやすい。土鍋代わりにおでんや鍋料理なんかしてもいいですよね。和食党の我が家では一番使用頻度が高いマルミットですが、残念ながら現在は生産中止になってしまったらしいです。信じられない〜。こんなに使いやすいのに。いま流通しているのはメーカー在庫分だけみたいですが、ネットやアウトレットなんかでわりと簡単に手にはいります。さらに、マルミットと似たような形で「ココット・ジャポネーズ」というのが出ています。こちらはも口径が広くて浅いお鍋。マルミットと違って底面が平らなので、すき焼き鍋なんかにサイコーだと思います。こちらの使い勝手もよさそうだけど、まだまだ高いし、私はマルミットで十分かな。


それから、ビュッフェ・キャセロール。

ここでも書いたように、私はなぜか湯豆腐専門鍋として使っていますが、本来はこちらはスキレットのようにして使うのが一般的ですね。これでパエリヤを作ってテーブルにそのまま出すと、とてもかわいいです。グラタン皿やパイ皿代わりに使って、そのままオーブンに入れてオーブン焼きやグラタンなどを作ってもいいですね。少量のお酒や水分を入れて作る蒸し煮のような料理も得意です。こないだ買ったレシピ本にビュッフェ・キャセロールを使ったアクアパッツァの作り方が載っていたので、こんどホームパーティーをするときに挑戦してみようと思います。ただ、現在市販されているのは口径26cmのものがほとんど。これだとお客様用にはいいんだけど、二人家族だとちょっと大きいかなーという気がします。以前は22cmタイプもあったのですが、このサイズは廃盤になってしまったようなのです。私はどうしても22cmが欲しかったので、ネット中を探しに探して、東急ハンズのネットショップのアウトレットで買いました。こちらももう在庫ゼロになってしまったようです。


ルクルーゼで作ると、煮込み・揚げ物・オーブン料理・炊飯と何でもできるし、なんといっても見た目がキュート。キッチンに鮮やかなオレンジや黄色のお鍋がちょこんとあるだけでお料理が楽しくなります。ただ、欠点もあって、一番のネックはやはり重さですね。私は全然気にならないけど、ふつーのお鍋からルクルーゼにチェンジすると、とても重く感じると思います。蓋にもかなりの重さがあるので、うっかり足に落っことしたりしたら骨折の危機です(笑)
私の母がうちに来て料理をしたときに、「どうしてあなたの家にあるお鍋はどれもこれもこんなに重たいの!!」とキレていました。年輩の知り合いも、「若いうちはいいけれど、年をとってくると、だんだんあの重さがこたえるのよね〜」と言っていました。ま、あの機能を考えるとこの重さはしょうがないですね。


あと、ダッチオーブンほどではないけれど、ステンレスやアルミのお鍋ほど丈夫ではないので、水気はなるべく避けた方がいいと思います。鍋に具材を入れたまま冷蔵庫に入れたりしてもOKみたいだけど、私はなるべく別の容器に入れ替えて、洗ったらキレイに水気を切って乾燥させるようにしています。から焼きやオイルコーティングの必要はないので、ダッチオーブンより手入れは数段楽です。湿気の多い日本仕様のルクルーゼは縁のところに防さび加工されているらしいけど、直輸入品のヨーロッパ仕様はどうでしょう?


それから、蓄熱生が高いため熱が回るまで時間がかかるので、さっとお湯を沸かすとか、残り物を温める、とかいう用途には不向きです。そういうのはアルミやステンレス鍋がいいです。お鍋自体の温度が下がるのにも時間がかかりるので、お鍋がまだ熱いうちに冷たい水で洗ったり、冷蔵庫に入れたりはできないですね。


正直、「ルクルーゼじゃないとできない料理」なんて、実はないんです。アルミでもステンレスでも土鍋でも、調理法や時間を工夫すれば同じようにおいしくできると思います。ルクの一番のメリットはやはり見た目ですね(笑)。好きな色や形の調理器具を使うとお料理するのが断然楽しくなります。私がバカみたいに5つも買い集めているのも、一番大きい理由は「楽しさ」と「見た目」です。お料理は毎日毎日のことだから、気分良く、楽しくしたいですよね。ルクルーゼは決して安くはないお鍋ですが、一度買えば一生ものだし、ちょっといいお洋服を買うと思えば高くない買い物だと思います。うちの母くらいの年齢だとあの重さがキツイかもしれないけど、早くから使い慣れておけばだいじょうぶだと思います。


イカン......調理器具のことになるとついつい熱くなってしゃべりすぎてしまいましたが、少しでも購入を検討されている方の参考になれば幸いです。ま、とにかく、ひとつ持っていても損はないと思いますよ。使わなくてもインテリアになるしね(笑)